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ぶりたにあ・えんじぇう☆★

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2.出会いました



 それから少し後、岸谷家にて。
そろそろ愛しの同居人兼恋人が帰宅する頃だろうか、といそいそとお茶の準備をしていた家主、岸谷新羅は、携帯に届いたメールに即座に反応し、メールを開いた。
それは、彼が愛する妖精、セルティ・ストゥルルソンただ1人に設定された着信音であり、そして彼女からの連絡は、彼にとって何よりも優先すべきものだった。

「あっ、セルティ、これから帰るって!やった!!」

ピョンピョンと室内を飛び跳ねる20歳を越えた男の、身に付けた白衣がヒラリヒラリと浮き上がる。
まるで彼の心の浮かれ具合を顕しているかのようである。

「鬱陶しいなぁ。首無しからの連絡如きで、そんなに騒ぐ?」

そうした新羅の様子に、埃が舞うと眉間に皺を寄せて吐き捨てるのは彼の同級生にして腐れ縁、新宿の情報屋と言う何とも胡散臭い職業を自称する、折原臨也である。
しかも。

「じゃあテメェが出てきゃあ良いじゃねぇかってか出てけ。んでテメェ此処にいやがんだよ。」

腹の底から出た唸り声で威嚇するのは新羅・臨也の級友にして、臨也の天敵、池袋の自動喧嘩人形との悪名で知られる、平和島静雄その人である。
よりにもよってこの2人が何故席を共にするなどと言う珍事が起こっているかと言えば、静雄はセルティに呼ばれて茶を飲みに、臨也はその後に仕事の依頼で岸谷家を訪れ、ばっちり出くわしてしまった次第だ。
今にもテーブルを引っ繰り返しそうな静雄の様子を嫌そうに見、臨也はあからさまに溜息を漏らすと、大仰な動作で首を竦めた。

「あぁ、嫌だ。何所も彼処も自分の領地だとでも思ってるの?何、犬?縄張りは荒らすなって?人間様に向かって偉そうに説教しないでよ。犬は犬らしくそこら辺で這いまわってれば良いじゃない。」

残飯でも漁ってれば?、と小馬鹿にしたような言葉が付け加えられ、ついに静雄の堪忍袋が切れるかと思われた瞬間、「あれぇ?」、と間抜けな声が、険悪に満ちたムードを一掃した。
一見普通に見える彼も、伊達に2人の友人をやっている訳では無く、この殺気だった中に在って平然とし、尚且つ空気をぶち壊す事が出来るような、変人なのであった。結局の所彼はセルティとそれ以外に明確に世界が線引きされており、脳内がセルティ一色に構成されている新羅にとって、彼等が戦争しようが何しようが自分達に関わりがなければどうでも良い事なのだが。

「『オレンジジュースとショートケーキを用意しておけ。』、って?どう言う事?」

セルティは妖精であり、加えて首が無いので食事をする事が出来ない。
つまりセルティの為に用意する訳ではないのだから、意図を汲むと、誰かを伴って帰宅すると言う事だろうか。
オレンジジュースとケーキ、と言う組み合わせで、セルティの友人であり、静雄とも知人である茜が来るのだろうかと推測した新羅は、凡そどの程度で家路に着くかを尋ね、それに見合う様準備をしようと、鼻歌交じりにキッチンへと入って行った。