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ぶりたにあ・えんじぇう☆★

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 そして、セルティ・ストゥルルソン、帰宅。
リビングで揃って彼女を出迎えた大の男3人は、倣ってピシリと固まった。
視線の先は、セルティの腕に抱かれた、小さな少年に向かっている。
少年は初めて見る顔ぶれにきょとりと目を瞬かせ、「せるてぃおねえちゃん、このひとたちはだぁれ?」、と問うた。

「……ハッ、実に素晴らしい組み合わせに呆けてしまったが、いけない、私とした事が。セルティ、それ、誰?まさか僕達の子d…グハァ!」

感極まった様に目を輝かせた新羅に対し、セルティは皆まで言わせず影を繰り出してアッパーカットを喰らわせた。
次に我に返った臨也が、足を動かして近寄って来る。

「ふぅん、運び屋、真昼間から幼児誘拐とはやるね、君も。まさかの可能性に俺も驚き……ん?」

『違う!』、と先程のイギリスのように憤然と抗議しようとPDAに打ち込もうとして、表情を変えた臨也に動きを止めた。
その背後から、静雄も子供を覗き込んでいる。
静雄は少年と目が合うと、戸惑った様にセルティを見、子供を見て、言い難そうに口を開いた。

「なぁ…セルティ。その…こいつ、竜ヶ峰に似てんだけど、どう言う事だ?」

ピクリ、とセルティが肩を揺らすと、怪訝を確信に変えた様に、臨也の双眸が鋭くなる。
セルティの様子に静雄もこれが帝人なのだと言う事に気付き、どう言う事だと目で訴えた。
たじろぐセルティに首を傾げ、ともすれば睨んでいるようにすら見える凶悪面を映して、少年はにこりと笑った。

「おにいちゃんたち、こんにちは。ぼくは竜ヶ峰帝人です。おにいちゃんたちはぼくのことをしってるの?」

愛らしい笑顔の少年は、場の空気を全て浚って、自己のペースへと周囲を引き込んだ。



 状況説明を要求する。
そう言って、新羅と静雄はリビングのテーブルに座り、臨也とセルティ、帝人はソファに腰掛けた。
臨也も静雄も、帝人を抱き上げたいとぎゃあぎゃあ騒ぎ立てたが、断固としてセルティは譲らず、無事魔の手から守られた幼児帝人は美味しそうにショートケーキを食べている。口の周りに付く生クリームでさえ微笑ましい光景だ。

『話せば長くなるから簡潔に言うが、帝人は俗に言う魔法と言うやつに掛かって、1週間は恐らく元に戻らない。で、私は、その諸悪の根源である人物からこの帝人を託された。』

ポンッ、と帝人の頭に手を乗せると、構われたのが嬉しいのか、帝人はセルティに向かってケーキのフォークを差し出す。

「せるてぃおねえちゃん、たべる?」

純粋な気持ちで差しだされる行為は酷く眩しい。無垢なる存在の可愛らしい様子に母性を目一杯刺激されたセルティは思わず帝人を抱き締めそうになって、危うく、飛ばされたナイフに身体を刺される所であった。

「ちょっ!何すんの臨也!!僕のセルティと帝人君に!!」

「おい、新羅、その言い方は待て。セルティは良いとして、竜ヶ峰までテメェのモノみてぇじゃねぇか、それじゃあ。」

強烈な殺気を含む眼差しを向けられ、新羅は冷汗を流す。他意は無い筈だが、言葉1つで獣のストッパーを容易く外してしまうのでは、おちおちうっかり言葉も零せない。

『そうだぞ、臨也!帝人に当たったらお前どうするつもりだ!!』

「馬鹿じゃない?俺がそんなヘマする訳ないし。でもまっ、そうなったらそうなったで俺が責任取るよ。」

寧ろそれが目的なのか、冗談と本気を入り混じらせて言う臨也の欲がだだ漏れになっており、セルティは背筋が寒くなった。同時に、静雄から向けられる殺意も半端では無い。
1人分かってない帝人は全員を見回すと、キュッと眉を寄せ、口を尖らせ、小さく柔らかい手を腰に当てると、ぷっくりと頬を膨らませる。

「もう!いいとししたおとなが、けんかなんてみっともない!って、きくしゃまがいってました。なかなおりしてくだしゃい!」

はっきり言って、その様子はただただ可愛いだけで怖さなど欠片も無いのだが、すっかり幼児帝人に癒され和まされ骨抜きにされた面々は口々に謝罪する。

「御免ね、帝人君。もうしないから(取り敢えず今は)。」

「そっ、そうだな。もうしねぇよ(後で殺すけどな)。」

戦争ペアの裏の声が聞こえた気がして、新羅とセルティは溜息を吐く。
この2人は何所まで言っても変わらないのだと、改めて認識させられたようだ。
と、懐かしの黒電話のような音が、室内に響き渡る。
何事かと驚く大人組を置いて、嬉しそうに帝人は顔を綻ばせると、バッグに入っている携帯電話を取り出し、通話ボタンを押した。

「きくしゃま!」

満面の笑みで呼んだ名は、電話口の相手だろう。
なんとか相手の声が聞こえないものかと、大人は一斉に帝人に近寄り、耳を傾けた。

『帝人!大丈夫でしたか?何所か痛い所やおかしな所はありませんか?』

「? へんなきくしゃまですね。ぼくはげんきですよ?」

『……帝人、もう1度確認しますが…今年で歳は幾つですか?』

「ぼく?んと、5しゃいです!」

電話の相手に向かって、帝人は片手を開いて見せる。電話の向こう側の主は、その情景が見えているかのように、大きく溜息を吐いた。

『……分かりました、現状維持ですね。今はアーサーさんと一緒ですか?』

「いいえ、ちがいますよ。あーさーしゃまのおともだちの、せるてぃさんといっしょです。」

ねっ、と、笑顔を向けられたセルティは慌てる。これでもし電話を変わってくれと言われても、セルティには喋る事など出来ないのだから困りものだ。
察したように、新羅は「帝人君、悪いけど、電話変わって貰える?」、と手を差し出し、当の帝人は、言われた通りに携帯電話を渡した。

「お電話変わりました。私、竜ヶ峰帝人君の知人で、岸谷新羅と申しますが―――」

1人離れて電話の応対を買ってくれた新羅にセルティは安堵する。ジッと新羅の背を見詰める帝人は、前方から名を呼ばれて正面を向いた。

「まだ、自己紹介して無かったよね?俺は折原臨也です。臨也お兄ちゃん、って呼んでごらん?」

「気持ち悪ぃ真似してんじゃねぇぞノミ蟲ィィィ!!! ……あぁ…、ゴホンッ。俺は平和島静雄だ。宜しくな。」

恐る恐る頭を撫でる静雄の目をしっかり見て、帝人は上目遣いに「しじゅにいちゃ?」、と首を傾げた。
その破壊力に、ピシリと再び静雄が固まったのは言うまでも無い。

「シズちゃんばっかずるい!ねぇ帝人君、俺は?」

「いざにいちゃ!」

にぱっ、と太陽の如く輝かしい笑顔を振り撒く帝人に、絶賛ツン全開でしか対応されて来なかった臨也は感極まり涙が出そうになった。
昂った感情の儘、勢い余って抱きつこうとした臨也に対し、静雄とセルティから、強烈なカウンターを喰らった事は言うまでも無い話だった。


「何遊んでるのさ君達。」

自己紹介が終えた所で、電話を切ったらしい新羅が呆れた様子で此方を見遣る。

『新羅、相手は何だって?』

心配そうにPDAに打ち込むセルティに向かって優しく微笑むと、新羅は帝人と同じ目線になるように屈み、瞳と瞳を合わせて言った。