裏密ロマンス
「とりあえずベタにラブレターなんてどうかしら?」
とは乙女代表美里葵の発言である。
今どきラブレターかよ・・・・。と思ってみても口にだす勇気はなかった。美里には媚薬うんぬんの件で恐ろしい思いをしたのだ。どうしてオレが怒られなきゃ何ないのかイマイチわからんが、触らぬ神に祟りはない。
なによりも裏密自身が乗り気だ。
小一時間後。
そして裏密が書き上げたラブレターを見て誰もがこの作戦は失敗だったと悟った。
その文面を今ここにしるすことはできない。
なぜならばその手紙には世にも恐ろしい(というか半分以上読めんかった)、何やら端から端まで恐ろしげな呪文に満ち満ちていたのだ。
下手に一般人が手にしたらそれこそ大惨事になるにちがいない(確信)
「…………これは」
「またスゴイ…………」
「なんか電波ってるよ」
「なんだかオレ急に寒気が!!」
手紙の呪いに当てられたのか急にがたがたと京一が震えだした。慌てて抱きとめるが京一の顔は真っ青になって全身は痙攣を始めていた。
「京一! だいじょうぶか!!!」
「うう、ひーちゃん。オレはもうダメだ…………オレの屍はきっと拾ってくれ! 頼む」
「京一!」
「そして、母ちゃんに…………サリー(コリー犬、かなりの御老体らしい)を頼むと」
ガクリと首を垂れた。
「きょーいちー!!!!」
オレは腕の中で息を引き取った京一の体を抱きしめた。
「京一くんが…………」
「京一…………」
「…………京一、お前の死は無駄にしないよ…………だけどひとつだけ言わせてくれ」
なみだをぐっとこらえて、
「てめーオレのデラべっぴん(巨乳・美乳特集)どこに隠したんだ!?」
ルールールルルー。
なんとも涙ぐましい場面である。
オレは空の彼方に京一の笑顔が見えた気がした…………。
しかしなんと恐ろしいパワーなのだろうか。
この力があれば御堂和馬といえども別の意味でイチコロに違いあるまい。
「ミサちゃん、これは止めておきましょうよ」
現実に倒れてしまった京一を前に、裏密も異存はなかった。
そして乙女チック全開の美里の指導のもと、人にも読めるレベルの手紙が書き上がった頃には皆も疲労困憊になっていた。
「できた…………」
「やったわ…………」
達成感のこもる声。
確かに修行のようであった。
「これなら呼んでも大丈夫だわ」