裏密ロマンス
そして…………怪しい光を瞳に灯した魔女がくる!!!!
「ぎゃああああああ!!!!」
しじまをつんざく哀しい男の叫び声。
「助けてくれぇえええ!!!」
腰砕けになりながらも、
足がもつれてままならなくても、
御堂和馬は必死だった。全身を鳥肌でけば立たせ、這いつくばって逃げてゆく。
君の気持ちはよくわかる。
オレはそっと彼のことを思った。
そして裏密は、ラブレターを手に立ち尽くしていた。
無理もない、好いていた男にほとんどバケモノ呼ばわりされたのだからショックもさぞや大きいだろう。
駄菓子菓子!
「うわあ!背後になんか影が揺らめいてるよ!」
小蒔が指をさす。
確かに裏密の背から立ちのぼるオーラに何か得体のしれない影があった。
「あれはクーフーリン…………」
以外とオカルトマニア・美里が呟いた。
けっこうこいつも紙一重だよな…………。
しかし事態はそれどころではない。
「お前はデビルサマナーかっての!」
「ついにプレステ移植ね!」
「サターン買おうか迷ってたんだよねぇ」
「ドリキャスでたしな」
「あ、あたし湯川専務のプリクラとったんだ、もらってもらって」
「いーなー、オレにもくれ」
「そのネタはやべーって! みんな伏せろ!」
クーフーリンがその手をかざす。
どっかぁああああん!
白熱したエネルギーが爆発した。
爆音と爆風が強襲する。
「あ! 如月くんが風に飛ばされてっちゃったよ!」
「ほっとけ!」
今は自分を支えるのに精一杯だ。他人をきづかう余裕などない。
そして裏密はその風をものとのせず立っていた。
「ミサ、もう絶対恋なんてしないんだから!!!!」
この街の不思議なところは、まるでアニメか漫画の世界のようにすぐ復興してしまうところだろう。もちろん如月骨董店も例外ではない。昨日の今日で、街はもとの静けさを取り戻していた。
まあ、この店は至る所に出現できると言う奇妙な特性を持っているが、よもや壊滅的なダメージを受けていたはずの商品すら元に戻っているのと思わなかった。
飛水家三千年のなぞである。
「よーっす」
いつも通りの軽い登場。
「…………また来たのかい」
そして慣例のごとく店主は眉をひそめたのである。
「君たちがくるとロクなことがない」