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【ヘタリア】 王様と俺様 1 Preußen Blau

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生き残りの中で、弟は3人生まれたが、フリードリヒとは10歳以上ちがう。

そのため、父王の過度な期待と、虐待が全てフリードリヒに向かった。
大北方戦争から帰ってきたギルベルトは、臣下はおろか、幼い子供や妻に、平気で鞭をふるう国王に驚愕した。

ギルベルトにとって、フリードリヒの父王フリードリヒ・ヴィルヘルム1世は、徴兵制や貴族将校の養成でプロイセンの軍事力を増強してくれた国王だ。
なによりも、ギルベルトの元居た東プロイセン。
荒廃して廃墟のようだった都市に、移民を奨励し、復興させてくれた恩義がある。
国王によって、国の軍事力が増すたびに、「自分」が強くなっていくのが日々感じられて、爽快だった。

しかし、どうだろう?

ベルリンの宮廷はフリードリヒ・ヴィルヘルムの軍事力増強のため、宮廷費は削りに削られ、庭園は演習場に変えられ、知識人や音楽家などはすべて去っていた。
美しかった庭園は草木が引き抜かれ、無粋な軍人たちが闊歩する。
あまり宮廷生活には興味がないギルベルトでも、国王のありようには戸惑うほどだった。
オーストリアやフランスのあてこすりにも腹がたった。
軍人王、というあだ名をされる国王は、その父とは似ても似つかない暴力的な男だった。
ホーエンツォレルン家では代々、彼ら親子は、似ても似つかぬ性格と容姿で産まれるのだ。
これは、永遠の謎としかギルベルトには思えない。


荒れ狂う父王のむちから、ギルベルトは何度、フリードリヒや姉妹たちを助けたことだろう。
その暴力はギルベルトにも向けられ、牢獄に放りこまれたことも一度や二度ではない。

ギルベルトの何度目かの幽閉中に、フリードリヒの逃亡事件が起こった。
そして、王子の瞳からは、生きる希望の光が失われてしまった。

フリードリヒがギルベルトと普通に話せるようになるまでずいぶんと時間がかかったものだ。

あの子供が今の国王・・・・・・。

「国」として生きるギルベルトは、人間の命の限りと成長の速さに、いつの時代も驚嘆する。

そして、あの時、子供だった王子が、今は、自分の兄か父のように、その姿と心を変えてしまっているのに気がついた。

それでもギルベルトにとって、それは不愉快なことではなかったのだが。
いまではすっかりフリードリヒの方が、ギルベルトの精神年齢を追いぬいてしまっている。

どうして、「人」はこうやって人生を駆け抜けていってしまうのだろう?

長い長い時を生きていく、「国」の具現であるギルベルトにとって、それは不思議でもあり、心の痛みを伴う事でもあった。

( 今は、ただ、フリッツと一緒にいたい。
フリッツが「俺」に与えてくれる自信と誇り・・・・・・。)

「公国」となってから、ギルベルトが今まで感じたことのないような高揚感。
何か、新しい時代の到来を、この国王は感じさせてくれる。


たまにフリードリヒが弱った時だけ呼ぶ、自分の名前。
「ギルベルト」と呼んで、フリッツが自分を頼ってくれるのが嬉しかった。

こんな付き合いが出来る上司は、騎士団でも限られていたし、一方的でない関係はとてもうれしかった。



国王は宰相と粘り強く交渉している。
そのうち、宰相なぞいらなくなるだろう。

どうやって、フリッツを助けようかな。
そのためなら、嫌いなフランス語も習ってみるか・・・・・・。
まあ、嫌いなのは「フランス」ではなくて、あのしつこいフランシスの視線なのだけれど。

探るように、絡みついてくる、フランシスの視線が嫌いだった。
心の底では、「プロイセン」を馬鹿にしているだろう、フランシスの言動も嫌だ。

(今にみていろ・・・・!
お前など、いつか制圧してやる。
その偉そうな面を、泥にまみれさせてやる。)


若い国王と同じく、新しい国として生きるギルベルトも野望に満ちていた。

先ほどから、国王と言い争っていた宰相がついに折れた。
(根気強さではフリッツの右に出るものはいないんだぜ。)

この王の、美点でもあり、欠点でもある。

宰相は首を振りながらため息をつき行ってしまった。
ご機嫌の国王はギルベルトを手招く。

「プロイセン。お前もこっちへ来て、この設計図をみてくれ。」

ギルベルトが机の上を覗き込むと、手書きの城の設計図のようだ。

「この城をあの丘に建てようと思っているのだ。お前も、前に私と行っただろう?ポツダムの美しい森の中の丘だ。小さい城だが、私の理想の城にしようと思っている。」

嬉しそうに設計図に書き込みをしているフリードリヒ。
自ら図面を引いて、内部の装飾まで描かれている。

(ほんと、凝り性だよなあ・・・・フリッツも・・・。)

「プロイセン、お前の部屋もあるからな。この城が完成したら、私はこちらへ移る。お前も一緒に来なさい。」

「・・・・・・それは・・・命令か・・・・?」

フリードリヒは傷ついたような顔をしてギルベルトを見た。

「命令・・・しないと来てはくれないのかね?」

「う・・・・いや・・・俺・・・・邪魔じゃねえのかって・・・。」

ギルベルトが言い淀む。

今度はフリードリヒが苦笑いをした。
ギルベルトが気にしているのは、フリードリヒの性癖の事だ。
世間で言われているほど、フリードリヒは女性に興味がないわけではない。
彼女達を相手にしたこともある。

しかし、受け入れられない・・・・。
国王には怖れがあった。
もし、彼女達、結婚して放置したままの妻でもいい。

彼女達が身ごもったら?

自分が父となったら?

あの父と同じように、自分はその子に暴力をふるい虐待するのではないか?

生まれてからずっと父王の暴力を受けて育ってきたフリードリヒは、どうやって「子」と接していいのかなど考えたくない。考えられなかった。
自分の中に流れる凶暴な父の血。

それを自ら残すような真似をしたくなかった。

それでいて、若い性欲に目覚めた王子は、手っ取り早く解消できる手段として、「男性」に手をだした。
男ならば、妊娠しない。
男なら、嫉妬もなく、寵愛を利用しての画策も、後腐れもないだろうと思った。

そうでもないのだ、とわかった時は、もう性に対しての興味も薄れてきてしまった。

それよりも、国を自分で動かし、自信の理想でもって政治を行うほうがよほど楽しい。
国王となってからは、ほとんど誰にも手を出していない。

しかし、ギルベルトは潔癖な性分の子だ。
まあ、あれだけのうきめを流したのだから、彼が誤解していても仕方ないかな。
フリードリヒの情事の間、彼は馬小屋に逃げ込んでいたのだ。
フリードリヒはギルベルトの表情を見て笑ってしまう。

「そんな顔をしなくても大丈夫だよ、プロイセン。妻はここには呼ばないし、私の本当の友人以外はここには住まわせない。お前がまた馬小屋で寝るような真似をしなくてもいいように、軽率な真似はしない、と誓うよ。これならいいかね?」

「・・・・・あのよお・・・・・。その・・・・・・。おれは馬小屋で寝るのは全然平気なんだけどよ・・・・・。王妃様をこん城に呼ばないって・・・・。また世間に誤解されるんじゃねえのか?」