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籠を発つ鳥

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『ずっと、手紙が届かなくて。心配になって、お見舞いに…だけど、これは……?』
震える声でそう言いながら、彼女はおそるおそる部屋へと足を踏み入れる。


彼女は僕よりずっと綺麗な金髪で。
面差しは母に似ていなかったけれど、細くて柔らかな、女の子。
自分の子供を強姦する、決定的な場面を見られて。
あのひとが、逃すわけもない。










『───や…っ、侯爵さま……っ!?』
細い腕を掴んで僕の隣まで引きずって転がし、彼女が着ていた衣服に手を掛けた。
『やだ…いやあっ!』
『リィ!』
まさか僕の目の前で、彼女の華を散らそうというのか。
『やめ…っ』
とっさに彼女の肩を引き、抱き込んで庇う。
僕の肩を掴んで引き離そうとするあのひとに、僕は彼女をきつく抱きしめて懸命に抗う。
大人のあのひとの力に、子供の僕が叶うとは思えなかったが、それでもあのひとの狂気に彼女を巻き込むのは絶対に嫌だった。
何度も無理な行為を強いられ続け、すでに体が慣れることを憶えはじめてしまっていた僕はまだ良い。
けれど本来この行為は、自分が想う人との感情が伴ったものであるはず───少なくとも、僕はそうあって欲しいと思っている。
だからなんの感情も意味も見いだせない、こんな理不尽な暴力で、彼女を傷つけたくなかった。



『…彼女には、触れさせません』
乱された衣服のまま、背後に首を巡らせて言えば、ぎり、とあのひとの歯噛みする音が聞こえる。
『するなら、僕だけにして下さい。彼女には、関わりのないことでしょう?』
『アル、フォンス……?』
怯えた声で僕を呼ぶ彼女に、出来る限りの笑顔で返した。
うまく笑えていたかなんて、自信はなかったけれど。
『…心配しないで、リィ。きみは絶対、あのひとに傷つけさせたりしないから……』



そうして僕は、彼女を腕に抱き込んだまま。
彼女の目の前で、背後から犯された。

だけど、無理矢理貫かれた場所の痛みよりも。
怯えて震えながら泣きじゃくる彼女を見ていた時の胸の方が、ずっと痛かった。





作品名:籠を発つ鳥 作家名:新澤やひろ