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思えばその時の僕は、抱かれるようになってから初めて抵抗らしい抵抗をした。
それがあのひとの勘に障ったのだろう。
あの人の目に付かないよう彼女を密かに帰したその日の夜、突然薬を嗅がされて。
気がつけば、自分の部屋ではなく地下にいた。
さほど広くはない部屋の中に、必要最低限の家具と設備が備えられただけの。
窓はなく、扉の代わりにさび付いた鉄格子。
座敷牢、とでも呼ぶべきか。
あのひとが僕を見下ろして、昏い笑みを浮かべる。


───おまえはここから逃げられないのだと、そう言わんばかりに。