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夜になると、彼は

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ふと、以前太陽を見ようとしたときに目が痛くなったのを思い出し、ルートヴィヒはもしかすると、この目の痛みはそれかもしれないと思った。その人は空に届きそうなほど背が高かった。いつも明るい笑みを浮かべていた。男はルートヴィヒの太陽だった。
――兄さん、これいらない。
ルートヴィヒは、小さな手のひらをその人に差し出した。その人は彼の意図が掴めないのか、どうしていいかわからない様子でいる。その人があたふたするのを見つめながら、ルートヴィヒは、このちっぽけなパンが彼の笑顔を曇らせているのなら、こんなものは欲しくないと、強く思った。
傷の絶えない、力強い指先にパンを握らせる。当惑した表情で見つめてくるその人に、ルートヴィヒは笑顔で言った。
「このパン、兄さんにあげる」




はっとして我に返ると、ドイツは誰も座ってない向かいのテーブルに、自分の右手が差し出されていることに気づいた。その手には、王冠をかたどったパンが握られている。まるで、誰かにパンを渡そうとでもしているかのような、不自然な形である。
辺りを見回すも、この部屋に自分と犬以外に誰かいるはずがなかった。部屋は静寂に満たされている。
それでも何故か、今まで傍に誰かがいた気がして、ドイツは落ち着かなかった。ドイツの戸惑いは右手と、右手の握るパンに向けられた。
強い力で潰されたためか、けしの実がぽろぽろとテーブルの上に落ちていく。

ようやく右手を開く頃、ゼンメルは元の大きさよりもだいぶ小さくなっていた。

作品名:夜になると、彼は 作家名:ひだり