二年後設定で沖神!
神楽がこちらを見る。
眼が合った。
直後。
「な、なに言ってるアルかァ!」
神楽は慌てた様子になった。
「ぜんぜん違うアル! ただの妄想アル! 勝手に言ってるだけアル! 自称アル!!」
矢継ぎ早に叫ぶ。
その顔は赤い。
怒っているのか。
それとも、照れくさいのか。
沖田はニヤァと笑う。
「妄想じゃねェはずだ。あーんなことや、こーんなこともしたんだからなァ」
余裕たっぷりに、意地悪く言った。
すると。
「なっ……!」
神楽の顔はいっそう赤く染まった。
ふいに。
「あーんなことや、こーんなことって、なんだ?」
遠巻きに様子をうかがっていた者たちの中から声があがる。
「そりゃー、あーんなことがアレで、こーんなことがアレだろ」
「ああ、そりゃそうだろな」
「ちょっと待つアルっ!」
神楽は彼らに向かって怒鳴った。
「変な想像しないでほしいアル!」
「じゃあ、そっちのお侍さんと、なーんにもしてないのかい?」
「う」
冷静に問われ、神楽は言葉を喉につまらせている。
「ううううう」
かなり困っているらしい。
なにもしてないと嘘をつけばいいだけなのに。
そう沖田は思ったが、もちろんそんな助言はしない。
その代わりに。
「したよなァ」
注意がすっかり他のほうに行っている神楽との距離を、一気に詰めた。
つかまえる。
背後から抱き寄せる。
そして。
「なにしろ、俺達ァ、愛し合ってんだからなぁ」
堂々と告げた。
まわりにいる者たちが、おおーっと、どよめく。
ヒューヒューとはやしたてる声も聞こえてきた。
「愛し合ってないアル!!」
神楽は荒々しい口調で強く否定した。
沖田の腕の中で暴れている。
「違うアル!」
「みんながいるまえだからって照れなくていいんだぜ、ハニー」
しっかりと神楽を抑えこみつつ、沖田はからかうように言った。
気分は爽快である。