二年後設定で沖神!
しばらくして。
えいりあんが、ひときわ大きな悲鳴をあげた。
そう、あれは間違いなく、悲鳴だ。
そして、えいりあんの巨体が大きく揺らいだ。
直後、神楽はえいりあんの身体から飛び降りた。
神楽がターミナルの床に着地する。
それとほぼ同時に、えいりあんが大きな音をたてて床に倒れた。
倒れて、そのままで、えいりあんはピクリとも動かない。
勝負はついた。
神楽がえいりあんを見事に倒したのだ。
まわりで見ていた者たちのあいだから拍手がわき起こった。
だが、神楽は床に立ちながら、前かがみになっている。
どうやら疲れているようだ。
無理もない。
ふと。
神楽の背後にある建物から、なにかが伸びた。
タコの足のような、しかしタコにしては大きすぎる、モノ。
「!」
沖田は眼を見張った。
まさか、もう一匹いたのか……!
息を呑む。
その眼のまえで、神楽がさらわれた。
えいりあんが神楽の身体を持ちあげている。
頭の中が真っ白になった。
なにも、考えない。
沖田は床を蹴った。
駆けだす。
えいりあんのほうへと。
「閣下!」
「カイザー!」
背中に呼びかける声が飛んできた。
しかし、沖田は足を止めない。
走る速度をゆるめない。
神楽の身体を振り回しているえいりあんの姿が、どんどん大きくなる。
もう、そのすぐそばまで来た。
沖田はいっそう強く床を蹴った。
跳躍する。
さすがに夜兎族ほどの跳躍力はない。
だから、着地すると即座にまた跳躍する。
えいりあんの身体に登った。
そして、沖田は腰に差した刀を抜いた。