二年後設定で沖神!
鞘から出た刀は銀色に美しく光る。
その重さ。
腕に感じる。
慣れている。
むしろ心地良いぐらいだ。
沖田は攻撃を開始する。
さっき神楽が攻撃した場所をすべて覚えている。
そこが、えいりあんの弱点のはずだ。
容赦なく、そこを攻める。
沖田は剣の天才だと言われている。
皇帝となってからは、人前で刀を使うことは少なくなった。
だが、腕は錆びついていない。
その攻撃は、速く、的確で、鋭い。
えいりあんが悲鳴をあげた。
体勢を崩し、高々と生け贄のように持っていた神楽を放りだす。
「!」
しまった、と思った。
あの高さから落下すれば、神楽はどうなるのか。
死ぬかもしれないし、死にはしなくても大けがはするだろう。
眼が神楽を追う。
助かってくれ……!
強く、願う。
その沖田の視界で、神楽の身体がくるりと回転した。
神楽は足から落ちていき、綺麗に着地する。
そして、間を置かず、床を蹴った。
夜兎族の見事な跳躍。
すぐに近くまで来た。
その横顔に声をかける。
「オイ、さっきはえらそうなことを言ってたが、たいしたことねーなァ」
沖田はニヤと笑う。
「助けたぶん、報酬から引いておくぜィ」
「依頼を受けたのは、えいりあん一匹アル。だから、追加料金がほしいぐらいネ」
神楽が言い返してきた。
「それに、真選組が江戸の市民を護るのはあたりまえのことアル!」
こちらを見て、ニイと笑った。
えいりあんの身体の上で、ふたり、顔を合わせて、不敵に笑う。