二年後設定で沖神!
やわらかい。
そう感じる。
しかし、すぐに離れた。
けれども、神楽にはそれでじゅうぶん効果があったらしい。
凍りついている。
「……なんでィ」
沖田は笑う。
「初めてだったのかィ」
もちろん、するまえからそうだろうとは思っていた。
だが、すっとぼけて、言う。
「しょーがねェ。責任、取ってやる。ちょうど皇后の座が空いてるんだ。それをくれてやらァ」
神楽がハッとした表情になった。
我に返ったらしい。
「バ、バ、バカ言うんじゃないアル!」
その顔が見る見るうちに赤く染まる。
「そんなもん、いらないアル!!」
言葉と同時に拳が飛んできた。
予想外で、沖田は避けられなかった。
いいパンチだった。
夜兎族の力は強い。
沖田は後方へと飛ばされた。
床に倒れる。
倒れたまま、足音を聞いた。
神楽が去っていく足音だ。
怒っているのがその足音からも伝わってくる。
「……ふられましたねェ、カイザー」
「うるさいぞ、山崎」
冷ややかな声で告げ、沖田は身体を起こした。
「処刑されたくなければ黙っていろ」
いつもの皇帝らしい表情で立ちあがった。
「それから、アレの後始末をしておけ」
うしろに倒れている二匹のえいりあんを指さした。
「ハイ、カイザー」
山崎が敬礼する。
その山崎を残して、沖田は歩き始める。
たしかに、ふられた。
だが。
二年ぶりに会った、話をした、ともに戦った。
それに、ほんの少しのあいだではあったが、唇を重ねた。
ファーストキスを奪ってやった。
気分はいい。
けれども、冷静そのものの様子で、沖田は歩き続けた。