二年後設定で沖神!
捕縛
沖田は皇帝になってから真選組の屯所から出ることが少なくなった。
市中見廻りを皇帝がするわけがない。
捕り物に参加することもあまりない。
では、皇帝として勤務中にたいていなにをしているか。
今、沖田は皇帝の執務室にいる。
広くて立派な部屋だ。
椅子に腰かけているが、その椅子も見事な装飾が施されているうえ座り心地もいい。
眼のまえにある机も大きくて、重厚な雰囲気を漂わせている。
その机の上に、書類が積みあげられていた。
皇帝として勤務中、いちばん多くしている仕事はなにか。
その回答が、これである。
デスクワークだ。
沖田は剣術だけではなくデスクワークも得意だ。
無表情で机の上に積みあげられた書類をどんどん処理していく。
この速さなら、あっというまに終わりそうである。
だが。
扉をコンコンと叩く音がした。
続けて、真選組での所属先と名前が告げられた。
「失礼します」
その隊士が部屋に入ってくる。
手には書類をたくさん持っている。
もちろん未処理で皇帝である沖田がこれから処理しなければいけない書類だろう。
案の定、隊士はその書類を沖田の机にドサッと置いた。
「よろしくお願いします」
笑顔を向けられた。
「……ああ」
やってもやっても減らない。
なんだろう、これは。
という思いは外に出さないでおく。
「では、こちらをいただいていきます」
そう隊士は告げ、処理済みの書類を嬉しそうに机から持ちあげて自分の腕の中におさめた。
沖田は問う。
「特に異常はないか?」
「ターミナルの近くで騒ぎが起きているようです」
「攘夷志士か?」
「いえ」
隊士は否定し、机に置かれたリモコンのほうに手をやる。
「テレビのニュースで放送されているはずです」
部屋の隅のほうに置かれたテレビに電源が入った。
ちょうどニュース番組が映った。
花野アナが現場を取材している。
そして。
見覚えのあるツインテールの娘が映しだされた。
ごろつきのような男たちを相手に大暴れしている。
「……なにをやっているんだ、アイツは」
つい、沖田の口からそんな感想が出た。
画面に映っているのは神楽だ。