二年後設定で沖神!
うりゃああああああ、と神楽がほえた。
顔をゆがめている。
若い娘らしからぬ形相だ。
その力も。
男たちのうちのひとりが豪快に投げ飛ばされる。
大きな男の身体が一直線に飛び、やがて、近くにある建物に激突した。
待っていたのは、ガラスだ。
ガッシャーン!
大きな音をたてて、くだけ散った。
一方、神楽は得意げに胸を張って立っている。
気迫に満ちた顔がテレビの画面いっぱいに映しだされた。
沖田は無表情でそれを眺める。
そして、机の向こうに立っている隊士に冷ややかな声で告げる。
「あのイノシシ女を逮捕して、この部屋につれてこい」
コンコン、と扉を叩く音が聞こえた。
沖田はそれまで書類を処理していたが、手を止め、顔をあげる。
部屋の外から隊士たちの声がした。
そして。
「失礼します!」
扉が開き、彼らが入ってきた。
入ってきたのは、隊士が三人、それから、えいりあんはんたーである。
神楽は手首に手錠をかけられていた。
その左右に隊士がひとりずついて、神楽の腕をしっかりとつかまえている。
残りのひとりの隊士は神楽の武器である傘を持っている。
「ご命令どおり、逮捕し、連行してきました!」
傘を持った隊士が空いているほうの手でビシッと敬礼しつつ、報告した。
直後。
「不当逮捕アル!」
神楽が沖田に向かって、かみつくように怒鳴った。
それを完全に無視し、沖田は隊士たちのほうに眼をやる。
「ご苦労」
落ち着いた様子で言う。
「その者を残して、さがれ」
「ハイ、カイザー!」
隊士三人は沖田の命令に従って去っていく。
パタン、と扉が閉められた。
部屋には、沖田と、手錠をかけれた神楽の、ふたりきりになる。