二年後設定で沖神!
沖田は無表情のまま、椅子から立ちあがった。
無言で歩き、扉を背にして立っている神楽のほうへと行く。
「私を逮捕するなんて、おかしいアル!」
神楽はほえる。
「私は悪いヤツらを成敗してやったアル! アイツらのせいで泣いた人たち、いっぱいいるネ。だいたい、真選組が仕事をなまけて、これまでアイツらを野放しにしてたのが悪いアルよ!」
そう主張した。
そのあいだも、沖田は距離を詰めた。
「早く私を解放するアル!」
神楽が手錠のはめられている手を激しく揺らした。
もう、すぐそばまで来た。
だから、沖田は歩く足を止めた。
「……法治国家で私刑は認められない。そんなものを認めたら、社会の秩序を失うことになる」
冷静な声で話す。
「おまえに裁く権利はないはずだ。それに、仮にあれが自己防衛のためのものであったとしても、過剰防衛だろう」
神楽は口のへの字に曲げて黙っている。
言い返せないようだ。
「それから、器物破損。不当逮捕ではない」
実際のところは、どうだろう。
たとえば泥棒をつかまえるときに泥棒にケガをさせたり周囲の物を壊したとしても、罪には問えない。
神楽の場合は被害の程度が大きいだけだ。
しかし、神楽はなにも言わない。
沖田のハッタリにだまされてしまっているようだ。
もちろん、そのほうが沖田にとっては都合がいい。
「しばらく、くさいメシを食ってもらおうか」
神楽の表情が揺れた。
困っているらしい。
沖田は内心、ほくそ笑んだ。
思いどおりに話は進んでいる。
「だが、無かったことにしてやってもいい。皇帝の力で」
右腕をあげる。
そして。
神楽の肩を押した。
扉へと、その身体を押しやった。
「なにするアル……!?」
そう問われて、沖田は告げる。
「男のいつつやむっつ手玉に取ったんだろう。なら、俺も手玉に取ってみろ」
至近距離でじっと見る。
神楽は眼を見張った。