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たかむらかずとし
たかむらかずとし
novelistID. 16271
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The way to love "my way".

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「僕じゃなくて、僕のやり方が好きなだけで、僕自身は別に割とどうでもよくて、僕が、竜ヶ峰帝人が必要な訳じゃなくて、だから、」
 帝人は呟き続ける。
 今までずっと目をそらしていたものに、やっと目を向けるように。 
「だから、」
(ああ、駄目だ───…)



「だから、つまりそれは、僕じゃなくても、だから、僕じゃない誰かが僕と同じ性質だったら、」
 ───静雄さんはその人を大事にする。



 ───そうだ。
 そうなんだ。
 帝人はじっと目を見開いて静雄の寝顔を睨むように見つめる。
「僕じゃなくてもいいんだ…」
(当たり前だよ、だって、静雄さんが好きなのは僕じゃなくて、僕のやり方だもん)
 今はまだ帝人は静雄にとっての唯一無二だが、きっと一生そのままではない。帝人は静雄の唯一無二のままではいられない。
 いつかきっと、静雄の性質を理解して、静雄の暴力を怖がらない、もっといい人───女性が現れる。
(そうしたら僕はお払い箱だ)
 だって静雄さんが好きなのは僕じゃなくて、僕のやり方なんだから。
 じんわりと瞼が熱くなった。

 

(ああ───…)



 気付いてしまった。気付かなければ良かった。
 静雄はいつも、帝人が大事だという。帝人が好きで、帝人がいればいいと言う。でもそれはまやかしだ。静雄自身も気付いていないかもしれない、嘘で、まぼろし。
 静雄は帝人しかいないと思い込んでいる。
 帝人しか、自分と一緒にいられる、いてくれる人間はいないと、自分は帝人が、帝人自身が好きで、友達でいたいんだと、そう思い込んでいる。
 でもそれは間違いだ。
 だって、静雄が好きなのは、帝人じゃなくて帝人のやり方なんだから。
 いつか別の、もっと良い人が静雄の前に現れたら、帝人はそこでお払い箱になる。いや、静雄は優しいから、すぐに離れていくことはないだろう。でも、いずれ帝人は捨てられる。静雄の唯一無二ではいられなくなる───。
(───…ああ、)





「僕はいつまで、この人の運命の相手でいられるんだろう───…」





 静雄の子供のような寝顔に、ぽつぽつと水滴が落ちる。
 静雄がむずかるように顔をしかめる。
 震える指がそっとその頬の雫を拭い、またそのあとから雫が落ちる。
 帝人はいつまでも、静雄の頬を濡らす己の涙を拭い続けた。