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【ヘタリア】兄さんが消えない理由マリエンブルク城篇2-1

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早くつれて帰れ!!このくそ野郎!!」

「ああ、やっぱり兄貴はそこにいるのか。」

ルートヴィッヒはほっとする。
いつものロマーノの罵倒など、まったく耳に入らなかった。

「よかった。悪いがそこで兄貴を捕まえておいてくれないか。これからすぐに引き取りにいく。」

「うるせー!早く来い!この腐れじゃがいも!!」

「すまないが、俺が行くことを、絶対に兄貴には内緒にしてくれないか?でないとまた逃亡を図ると思うのでな。」

「そんなの知るか!」

電話をいきなり切られたが、兄の居場所がわかって安心したルートヴィッヒは気にもしなかった。

パリ駅から一番早くでるスペイン行きの列車に乗り込む。
飛行機で行って、空港から回るよりも、列車で駅から直接、車でスペインのトマト畑の家に直行したほうが早いだろう。

それに、空港でスペインの閣僚にでもあったりしたら、変なところで知り合いの多い兄さんに嗅ぎつけられて、逃げられそうだ。


(どうして、情報を得るとか、そういうところだけはずるがしこいのか・・・あの人は!)

ぴーーーーーーと列車の警笛が鳴る。


(少し、眠っておかないとな・・・・。兄さんを捕まえるには、体力がいる。)

静かにパリの街を抜けていく列車に揺られて、ルートヴィッヒは眠りについた。



 
 フランシスはルートヴィッヒの姿が玄関から消えたとたんに、しがみついている女性を引きはがし、アントーニョに電話をかけた。


「はいはい?どちらさまですねん?」

「俺。フランシスだけど・・・。」

「なんや、今電話しようとしとったところや。」

「トーニョ!今ルーイがうちに来た!ギルを探してる!もうすぐ、お前んとこにも行くぞ!きっと!」」

さっとアントーニョの口調が変わる。

「そうか・・・・。いかんな。ギルは相変わらずやで。あんな姿、ルーイが見たら・・・どない思うか・・・。
ばれないと思ってるんやで。あのアホギルが!」

「ギルちゃんは相変わらずなの?」

「ああ・・・・。あれ以来、騎士団とこのえらいさんが亡くなってからちゅうもの、まったくだめや。
朝起きると、もう昨日ん事は、からっきしや。
俺との会話はメモしとるみたいやけど、半分くらいはわかっとらん・・・・。」

「そうか・・・・・。あいつ・・・・もしかしてこのまま・・・。」

「なに言うとんねん!そんなことさせへんて、こないだお前が言うたんやで!
なんかしら、原因があるはずや!
騎士団のせいやかて、ギルはあそことは、それほど深い縁があるとは思えへん。
何かあらへんか?探してみてえや!」

「うん。これからなんとかして、探してみるよ。
だけど・・・・本当に、こういう時・・・・あいつが特殊な「国」なんだって実感するよ・・・。
土地に由来しない国ってさ・・・。」

「あいつ以外にも、土地に由来せん・・・・騎士団であった国・・・・。
あるやんか!ヨハネや!ヨハネ騎士団!パオロはんに聞いてきたらいいんや!
俺、ギルちゃんがルーイに連れ戻されたら、その足で行ってくるわ!」

「ああ。頼む。俺は・・・そうだな・・・元ギルちゃんの・・・・土地にでも、手がかりがないか行ってくるよ。」

「俺は、ギルが消えるなんて許さへん!絶対に許さへんよ!」

「ああ、俺もだ。あいつはなんか、さらっと消えようとしてるみたいだけど、そんなかっこつけさせないよ!
ルーイがどんだけ悲しむか・・・・・・!わかってんのかね?ギル自身は。」

「・・・・どんな思いでいるんかなんて、今の楽しそうなギルみてるとわからへんけどな。
無理して笑ってて、痛々しいわ・・・・・。」

「とにかく、たぶんこれからルーイはそっちに行くだろうから、よろしく頼むね。
馬鹿兄貴、探し回って疲れてるみたいだし・・・・。」

「ほんまに、兄弟そろって・・・・・・・あほやなあ・・・・。
素直になって白状してしもたらええのに・・・・・。」

「それが出来なくて、つっぱるのがゲルマンなんでしょ。」

「あー、ギルのいけずが!よっしゃ!なんとか俺らで、消えないようにしたろ!
ルーイはまかせとき!ゆっくり休めるようにしてみるわ。」

「じゃあ、なにかわかったら、連絡するわ。」

「おう。じゃあな。」


電話が切れた。



そのとたんに、ロマーノの雄たけびが聞こえた。






******************************


「それじゃ、行くよ。」

「いやだあああ!!わけわからんし!!あんなとこ、行くなんて、リト!お前おかしーし!!」

「調べない事には(ポーが怖がってる)原因がわからないでしょ。俺の上司の許可もとったから、これで心おきなく城の中調べられるよ。」

「いやだあぁ!!リトの馬鹿ぁ!!」

本気で泣いているフェリクスを引っ張って、マルボルクの城の橋を渡り、城門を見上げる。

(あの時とあんまり変わってないな・・・・。相変わらずすごい城塞だな・・ここは・・。)

グルンヴァルト、ドイツ語ではタンネンベルクの戦いはドイツ騎士団の滑落を決定づけた戦いだった。
あの戦いに勝って、リトアニアとポーランドは連合王国として、華々しい歴史を刻むこととなった。


トーリスは思い出していた。
城を取り囲み、騎士団の降伏を待っていた時、秋が訪れ、包囲を解くこととなった。
もう少しで宿敵を追いつめられるのに、悔しさはあったが、作物の刈り取りのほうが、ほとんどの兵士が農民のリトアニア軍にとって、よほど大事なことだった。

しかし、冬になって包囲を続けていても、きっとこの城は落ちなかったのではないか・・・・。
歴史に、もし、はないけれど、このマルボルクの城をみていると、無敵の要塞に思えてくる。


「いやああああ、俺、絶対にあそこへは行かない!行かないったら行かない!!」

フェリクスがトーリスの腕から逃れて、城の柱にしがみつく。

「すみません。フェリクスの言っている、あそこって?」

そばで苦笑いをしているポーランドの役人たちに聞いてみる。
彼らもポーランドのこの態度に困っているようだ。

「ええ、この城の最深部、今まで発見出来なかった地下への通路があるのですが、その奥に部屋のような・・・倉庫のようなところがありまして・・・。」
「そこに何かが出たのですか?」

「はい・・・・・。まあ出た・・・というか。あったというか・・・。」
「中にあったのは、どうやら騎士団がいたころに隠していった武器や書籍などなのですが・・・・その・・・。」

「何があったの?はっきり言ってください。」
「はい・・・・。なんと申しましょうか・・・。」
「あの・・・見ていただいたほうが早いのじゃないか?どうせあのままにしてあるし・・・」
「そうだな!見ていただいて、判断していただこう!あれがどうなってるのか・・・。」

「あれ・・?」

「はい・・・・とにかく中を見ていただいて・・・・!」

ポーランドの役人たちも何か説明しがたいもののようだ。

高城の回廊を回って、地下への階段を下りていく。
かなり深い。
地下の3階分くらいはあるのではないか?
途中で、城の中庭から発電機で送っている明りが途切れた。