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【ヘタリア】兄さんが消えない理由マリエンブルク城篇2-1

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「電気、ここまでしかないのかな?ケーブルは?」

「はい・・・。今の発電機のケーブルだとこれ以上は伸ばせないのです。もっと長いものを取り寄せておりますが、再来週あたりになるとの連絡がきております。ここからは、ライトで照らしますので、足元にお気をつけて。」

電球の明りと比べて、懐中電灯の明かりはかなり暗い。
役人たちは5,6個のライトを持って照らしているが、地下のおしせまるようなせまい通路と、長い間籠っていた空気がただよう狭い階段では、光がゆれるのも不気味だった。

(これじゃ、ポーが怖がるのも無理はないかなあ。さあ、一体なにが出るのか・・・。)

現実派のトーリスはちょっとやそっとのことでは驚かないつもりだ。
ましてや、幽霊とかお化けの類は信じていない。

「ここです。この床下に隠し部屋があったのです。」
「まだ・・・潜るんだ・・・深い・・・。」

どこまでも続く地下への階段にそろそろ嫌気がさしながらも、トーリスは足元に巧妙に隠

隠された石の扉を見つめる。

役人たちがバーベルで扉を持ち上げる。
扉の奥にはさらにまた階段が続いている。
しかし、この階段は、石がかぶせられていない。
しめった土の匂いがしてくる。

「天井が非常に低いので、頭に気をつけてください。」

体を曲げるようにして、階段をおりていく。
しばらく下りると、広い部屋のようなところに出た。

「ここです。」

部屋と言っても壁は手掘りの土のままとなっている。
しかし階段と違って妙に天井が高い。
ライトでは照らしきれないくらいの高さだ。
たぶん、今まで下りてきた地下の分くらいの高さがある。
ここから上に登っていくことなど不可能だろう・・・。
どこかに空気を取り入れる穴があるのか?

そんなことを考えながら、トーリスは、部屋にライトを向ける。
中にあったのは、騎士団のものと思われる甲冑や槍、大きな櫃が沢山、そして、騎士団の団旗。

「ねえ、何を見て驚いたっていうの?別にふつうのものしかないよ?」

トーリスが部屋を見まわしながら不思議そうに聞く。

「実は・・・・。あれなんです・・・。」

指差された先は頭上をはるかに超えて、3階ほどの高さのところだ。
かなり高いところにあって、暗くてはっきりしない。
懐中電灯の光をあててみる。
部屋の隅に掲げられている、黒十字の旗。
5つほどあるだろうか?
旗の柄はかなり長いもので、壁に立てかけてある。

「あの旗・・?驚くようなものじゃ・・・・・ああっ!?」

「わかりますか?ひとつだけおかしいですよね?」

古びてちぎれそうな団旗の中で一つだけ色あせてみいない、真新しい旗がある。

しかし、それはほかのものと比べてとても小さい。
下から見ると、ミニチュアと言っていいほどの大きさだ・・・。

それは・・・その旗は、何の支えもなく、空中に浮いていた。
旗の布の部分だけが浮いていると言ったほうがいいだろう。

「ええ?あれ、どうなってるの?!」
トーリスは思わず叫んでしまった。


「あれだけではないのです!あちらをごらんください・・・!」

役人たちが気味悪そうに指をさす。

やはり騎士団のシンボルの黒十字の十字架。

こっちも小さい。

近くに寄ってみると、それは、積み重なった箱の一番上にある、ふたをしていない箱のまん中に置いてある。
十字架はライトの光が当たってきらきらと輝いている。

(妙な光り方だな・・・。)
トーリスは一瞬、違和感を感じた。

「この十字架のどこがおかしいの?」

「触れてみてください。」

近寄って、積み重なった箱の一番上にあるそのちいさな十字架に触れようとする。

「え?」

手が空をきった。
箱の中には確かに黒い十字架が見えるのに、取ろうと手を伸ばしても指には何も触れない。

目の前に、確かに十字架は見えているのに、触ることが出来ない。
「あれっ?変だな・・・。これ、見えるよね。なのに、ここに何もない・・・!」
思わず箱を持ち上げようとするが、接着してあるのか、どうしても動かない。
確かに十字架は箱の中にある。
しかし、箱をたたいても、十字架は、動きもしない。
これは一体・・・・・?


その時だった。
暗い部屋中に、突然不気味な音が響き渡った。

シューーー!

空気が抜けていくようなその音はしだいに大音響となり、部屋の中がびりびりと震える。
トーリスは思わず耳を抑える。

ドドドドドド・・・・・・・・・・。

何かが押し寄せて、吹き抜けていくような音だった。

トーリスは耳を押さえていた手をようやく外す。

「何だったの?あの音・・・・・。」

「わかりません・・・・。城の内部から響いているのは確かなようですが・・・。
ここの通路が発見されたのは先日の事なので、どこかとつながっているのかまだわからないのです。」
「たぶん・・・空気か何かが抜けていく音なんだろうね・・・。」

心なしか、湿った空気が入れ替わったように感じる。

トーリスはそっと指をなめてみる。

微かに風を感じる。

それも、入ってきた階段とは反対の方向から・・・・・。

「ふうん・・・。いろいろと調べてみなきゃわからないね。」

それにしても、この箱・・・・・・。
それにあの宙に浮いている旗・・・・。

(何か仕掛けがあるはずだよな・・・。当時、騎士団がここを出て行ったのが15世紀・・・・。なら、当時の技術力でできることってなにかな・・・・。)

暗い部屋の中で考え始めてしまったトーリスに、役人たちが声をかける。

「あの・・・・。そろそろ懐中電灯の光が切れるので・・・上に移動してもよろしいですか?」

「あ、はい。ところで、この中ってどこになにがあったとか見つけた当初のまま置いてありますか?何か動かしました?」
「記録を取りながらですので・・・・。動かすにもきちんと位置を図って、写真をとってからとの指示でしたので・・・。」
「あ、でも最初にポーランドさんがここに入った時、何か触ってましたね。すぐに止めましたけど。」
「フェリクスが、来た時もこの音がしてましたか?」
「はい・・・。ちょうどその箱と旗に気付いた時に音がしたもので・・・。お化けだって言って、ポーランドさん、ちょっとこのへんのもの蹴飛ばして出て行ってしまって・・・。このあたりのものも、その時動かされてますね。」

「そうかあ・・・・。」

漠然とはしているが、音の正体はなんとなく、つかめたような気がする。
あとは、もっとしっかりとこの部屋を調べればいい。
それにはもっと明るくないと・・・・。
とにかく一度上にあがって、ポーにお化けでもなんでもないことを教えてあげよう。

謎解きをしているようで、なんだかトーリスは楽しくなってきた。

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「うわあああああああ!!ヴェストぉ!!なんでここにいるんだ!!」

トマト畑からの帰りと思しき兄を発見し、ルートヴィッヒはにやりと笑った。

「あいにくだったな、兄さん。ポーランドとユネスコから正式に依頼があったんだ。
一緒に来てもらおうか!」


(やばい!ヴェストの野郎、本気で怒ってやがる!)