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フランケンシュタインの怪物

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兄は蘇った。小指の先から臓腑の奥まで、身体はかつてと遜色なく動くようであった。つまりルートヴィヒは失敗などしなかった。その筈だった。けれど兄には記憶の欠損があり、それはよりによってルートヴィヒに関わる記憶全てなのであった。
始めのうちはまだルートヴィヒは希望を持っていた。共に以前のように暮らしていればいずれ兄は記憶を取り戻してくれるだろうと思っていた。
しかし三日経ち、一週間が過ぎ、一月を越える頃、ルートヴィヒの心を徐々に絶望の影が覆い始めた。
兄は一向にルートヴィヒのことを思い出さないのだ。
語って聞かせる思い出話には首を傾げ、戸惑うような表情を浮かべる。
あれ程に愛し求めた兄と再び一緒にいられるというのに、まるで赤の他人と暮らしているようなぎこちなさを感じざるを得ない。
ルートヴィヒも兄も、互いの一挙手一投足に神経を研ぎ澄ませる日々。精神を少しずつ抉り取られて行くような毎日にルートヴィヒはついに音を上げた。