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フランケンシュタインの怪物

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「アーサー…いるだろうか?」
その日ルートヴィヒは旧友アーサー・カークランドの元を訪ねた。
かつて短い間ではあったが同じ学び舎で学んだ友人は、驚きながらもルートヴィヒを招き入れてくれた。
「どうしたんだ?ルートヴィヒ。お前が俺のところに来るなんて」
「ああ、アーサー、お前に相談したいことがあって…その、」
「なんだ?」
「…かつて、友人同士の間でお前は変わり者だと噂されていた…その噂が真実なら…」
ルートヴィヒは言い辛そうに組んだ指を忙しなく動かした。
アーサーはその長い指がまるでそこに意思があるかのように動くのをじっと見ながら口を開いた。
「…俺が魔術を使えるって噂か?」
「そ、そうだ、アーサー、その噂は、本当だろうか?」
必死な様子で訴えかけるルートヴィヒを、アーサーは暖かい紅茶に口をつけながら見やった。その翠緑の双眸は、紅茶の湯気に暖められて、それでも冷たく冴えた色をしている。
「…ルートヴィヒ、噂は本当だ」
「……それじゃあ」
「ああ、俺は魔術が使える。あまり大っぴらにはしたくないことだが」
「アーサー、決して口外はしない。だから、聞いて欲しい話があるんだ」
「…いいだろう。話してみろよ」
ルートヴィヒは事の顛末を全て話した。
死者となった兄を蘇らせたこと、しかし兄には自分に関する記憶だけが無かったこと、そのことが酷く辛いこと。
アーサーはただ黙ってルートヴィヒの話を聞いていた。
「どうすればいいのか、もうわからないんだ…そんな時、お前の噂を思い出して…何か助言をもらえるのでは、と」
「助言、ねえ。なあルートヴィヒ、お前は何を望んでいる?」
「…え?」
「お前は兄貴を手に入れたいのか?それとも手放したいのか?」
「それは…」
「例え記憶を失っていたとしたって、兄貴は兄貴だろう。何故共に生きていくことが出来ない?」
「それは…」
「お前は死んだ兄貴を蘇らせるという禁忌を犯した。それは何のために?」
「それは…」
「なあ、ルートヴィヒ。お前は何を望んでいる?」
アーサーの言葉に、ルートヴィヒは頭を抱えた。
 What do you hope?
たった四つの単語が頭の中を駆けずり回って、脳髄が引っ掻き回されるように痛んだ。心臓が軋むような音を立てる。
「おれは…」
搾り出した言葉は掠れ、落ちた。
ルートヴィヒはそのまま意識を失った。