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【ヘタリア】兄さんが消えない理由 マリエンブルク城篇2-2

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「いいか、ルートヴィッヒ。俺は今まで生き延びてきた。これは俺が「土地」に由来する「国」」じゃねえからかもしれない。なんでいま、ここにいるかすら、わからねえがよ・・・・。」

ルートヴィッヒはただ、子供のように泣くじゃくる。



「いやだ・・・・・・にいさん・・・・・・。いやだ・・・・・。」

「なんとなく・・・は思ってたんだ。ヨーハンの・・・・クロンベルクの予言は、俺に剣を返してから先がねえ。
これはよ・・・。俺が消えるって事なんじゃねえかってよ。」


「にいさん・・・・・聞きたくない・・・・・。もう・・・・言わないで・・く・・・・れ・・・・。」



ルートヴィッヒの足から力が抜ける。
ひざががくがくとして、立っていられない。
頭が、ついていけなくてガンガンと鳴る。
まるで割れ鐘が耳元で鳴っているようだ。




「お前も、もう立派に一人でやっていける・・・・。
何かあっても、フランシスやアントーニョやイタリアちゃんたちがお前を支えてくれるだろう・・・。」



(ああ・・・もうやめてくれ!!これ以上・・・・・・・聞きたくない!!)



心が張り裂けそうだ。
昔、兄さんと引き離された時と同じように・・・・・。

ルートヴィッヒは兄と引き離されたあの時を思いだした。
大戦の後、ばらばらに分断されて、引き離されたあの時。


あんな苦しみを味わったことなどなかった。
いつも守られていたのに、初めて、たった一人で残された。
守ってくれていた兄の存在がいかに大きかったのか思い知らされた。
離れていた間、何も、誰も、兄の代わりになれるものなどなかった。

それは今も変わらない。

兄がいなくなったら・・・・・。
消えてしまったら・・・・・?





「おれを・・・・・・おれを・・・・・置いて行かないでくれっ!!にいさん!!
置いていかないで・・・・!にいさん・・・・・!!」

「ルートヴィッヒ。俺のヴェスト・・・・・。もう、お前は俺の「ヴェスト」じゃねえ。もう、お前は「ドイツ」そのものだ。元から全部お前のものだったんだ。」

「にいさん!!やめてくれ!やめてくれ!!!おれはいやだ!!にいさんがおれを置いていくなんて耐えられない!!」

「置いていくんじゃねえ。お前にすべて返すだけだ。俺がお前から借りていたものをな。
「東=オスト」はもうお前の中にある。これからはお前がもっと自由に・・・・。
俺の干渉のないところでやっていくんだ。出来るな?ルートヴィッヒ。」

「でき・・・ない・・・。出来ない!!兄さん!!そんなことは嫌だ!!俺は嫌だ!!」


ルートヴィッヒのひざが崩れ落ちて、地面に座り込んでしまう。

そんなルートヴィッヒの頭をギルベルトは抱きしめてやる。



「聞けよ。俺の体な・・・・・。バッセンハイムが亡くなってから・・・ばらばらになったような感覚が続いてる・・・・・。今までになかったんだ・・・・こんなこと・・・。」

「にいさん・・・・・にい・・・・さん・・・。」



ただ、泣くじゃくるルートヴィッヒは、ギルベルトにしがみつく。



「プロイセンになった時も・・・・。心は引き裂かれたが、体にこんな感覚はなかった。
お前が生まれてドイツ帝国が生まれた時も、俺はなんともなかった。東ドイツになって向こうにいた時だって、平気だった。
だけどな・・・・今度ばかりは・・・・ちがうらしい。」



「・・・・・・・い・・・や・・・・・・。」

もう声が出ない・・・。
胸が苦しい。息が出来ない・・・・!!

「こうやって、お前をだきしめてやれるのもいつまでかな・・・・ルートヴィッヒ。
俺はお前が生まれた時から、お前をずっと愛してる。それは疑うなよ。
けどな、ルートヴィッヒ。いつまでも、俺はいない。
きっといつかは別れるんだ。兄弟ってのは、いつか別々の道を歩むだろ?
それと同じさ。俺ら兄弟もその時がきたってだけだ。」



「・・・・どうし・・・・て・・・・・。」

「可愛い俺のヴェスト・・・・・。ヴェスト・・・・・・。どうしようもない事もあるんだ・・・。
お前と引き離された時、俺は絶対にお前の元に帰ろうと思ってた・・・・それで俺は帰ってきた・・・お前のもとに・・・。でもよお・・・・。今回ばかりは勝手がちがうらしいぜ。」

ギルベルトの腕に力が入る。




「記憶が飛ぶんだ・・・意識もな・・・・・。お前が何を言ったか、次の日は覚えてねえ・・。」



ルートヴィッヒの脳裏にここ最近、うわのそらだったギルベルトの様子が浮かぶ。


「やきがまわったよな・・・・俺も。今回のこのマリエンブルクの城・・・。俺が大きくなったところだからな。何かの因縁かもしれん。これで俺の最後の仕事にするぜ。」

「にいさん・・・・・・。」

ぎゅっとギルベルトの腕に力が入る。
突然ルートヴィッヒの心に怒りがわいてきた。


ギルベルトの体を思いっきりつかみ、立ち上がる。
それでも涙は流れたままだ。



「どうして・・・、どうして俺を置いていけるんだ?!どうしてだ!!
どうしてあなたは生きようとしてくれないんだ!!
俺や、司教やフランシスやみんなが、あなたに生きてほしいと願っているのがわからないのか!!」



ルートヴィッヒはギルベルトの体をつかんで強く揺さぶる。
苦しさのあまり、どうかしてしまいそうだ。

(兄さんが・・・俺を置いて・・・・いく・・・・?)


ルートヴィッヒには理解できない。
こんなにも、大切に思い、思われてきた、自分達をまた引き離すのか・・・・?

誰が?


いったい誰が、そんなことを・・・・・・・!




「わかってるさ!!わかってる!!お前やみんなが望んでくれることはわかってる!!」
「ならどうして、そんなことが言えるんだ!!」

「だから、今までと違うって言ってんだろ!!」



「俺を置いていくなんて・・・・・俺をおいていけるなんて・・・・・。
にいさん・・・・・俺は・・・・ゆるさない・・・・俺から兄さんを奪うなんて許さない・・・・・!!」

「俺は、神じゃねえんだ!!お前が許さなくったって、逝かなきゃならねえときは、いつか来るんだ!!
今、お前に先に言っておけてよかったって思ってるぜ!」

「いやだ!!神だろうとなんだろうと、絶対に許さない!!」


ルートヴィッヒはギルベルトにむしゃぶりついた。
ギルベルトがパン、とルートヴィッヒの頬を張る。

「目を覚ませ!お前は神じゃねえ。それに俺が消えるかは、俺が決める!!」

「嫌だ!」

「ルートヴィッヒ!!」


その瞬間、ギルベルトは顔に衝撃を受けて、真後ろに飛んだ。

ルートヴィッヒがこぶしを握りしめているのが見えた。

地面に倒れる前に、体制を立て直す。
軍事国家として、鍛えていた体は、本能で反応する。



「・・・にいさん・・・・本気で・・・俺を置いていくのか・・・・。」

腕を突き出したまま、ルートヴィッヒが問う。
涙が伏せた顔から流れ落ちている。

「そう言ってるだろうがっ!!」


思わずギルベルトは、ルートヴィッヒを殴り返す。


今度はルートヴィッヒが後ろへ飛ぶ。



「うわあああああ!!」