迷惑な感情
5つ目 近づく相手は許さない
俺の帝人ちゃんには本当に害虫が多すぎる。
そう!彼女の身から溢れる光に吸い寄せられる害虫のなんて多いことか...!!
だから。
だから。
その光りに集まる害虫どもを俺が排除してあげないと....。。。
* * * *
今日はいつも一緒に帰る紀田君と園原さんが用事で帰れないのを知っていたから、チャンスだと思い、帝人ちゃんの帰宅ルートとこの時間の大体の位置を計算して、帝人ちゃんを探してみた。
けれど、
おかしいな?この時間帯だと寄り道をしない限りここら辺にいるはずなんだけど。。。
見渡してみても帝人ちゃんの姿が目に入らない。
仕方なしに来良学園方面を目指して足をすすめた。もちろん、帝人ちゃんの通学ルート通りにね!
..........ん?
途中で、かすかな言い争いの声が聞こえて足を止めた。
俺が帝人ちゃんの声を聞き逃すハズがないから、帝人ちゃんに間違えはない。
でも、そこは見事な路地裏で--------前の園原杏里の時の様に虐めだったら、全員切り裂いて社会的にも抹殺してやる!
「や、やめてください!!大きな声だしますよ!!!」
「さっきから大きな声だしてるじゃん。聞こえないし、聞こえたとしても誰も関心しめさないって!」
足を進めて行くと、帝人ちゃんの両手を掴んでいる男と肩に手をまわしている男。
そして-----涙目の帝人ちゃん。
ブチ。
頭で何かが切れる音がしたと思ったら、次の瞬間にはすでに帝人ちゃんを押さえつけていた二人を、持っていたナイフで切り裂いていた。
「....ねぇ。帝人ちゃんに触れて、声を聞いてあまつさえ泣かせるなんて...。お前ら如きが許されるとは思わないよな...」
「ひっ!!!!や、ヤベェよ!!こいつ!!」
「お、覚えてろよ!!」
思った以上に低い声が出ていた様だ。声と斬られた事実にあっけないほど簡単にやつらは逃げて行ったけど、帝人ちゃんに手を出した以上このままほっとく訳もないから、後で素性を調べて報復してやろう。
でも、まずは帝人ちゃんが優先だから、力が抜けたように座り込んでしまった帝人ちゃんに、笑顔と一緒に手を差し出した。
「大丈夫?」
「は、はい。ありがとうございます。臨也さんが助けてくれたお陰でなんともないです」
「そう。よかったよ。でも、この前もさらに前もこういう事あったよね?気をつけないと駄目じゃないか」
「そうですね。この前も静雄さんや正臣にも同じ事いわれちゃったし、もう少し気をつけてみます」
笑顔でお礼を言って帰っていった帝人ちゃんを見送りながら、俺のココロはどす黒い感情が渦巻いていた。
静ちゃんに紀田正臣君。
その前はドタチンに首なしライダー。
彼らが帝人ちゃんをこういう奴らから助けている事実は知っている。
でも、帝人ちゃん自身の口から聞かされるのと、文面を読んでの知識として知っているのでは、趣く感情は違ってくるらしく、実際に俺のココロはそれに対して、嫌悪感と拒否でいっぱいだ。
得に大ッ嫌いな静ちゃんに関しては、俺が帝人ちゃんに向けるのと同じ感情をもっているし!
「あ~あ!本当に帝人ちゃんに吸い寄せられる害虫が多すぎる!!とりあえず、さっきの連中を社会的に抹殺して、静ちゃんと紀田君に嫌がらせでもして、気持ちを落ち着かせようかなぁ~」
路地裏からくるりと身を翻し、光が差し込む方向へ足を向けた。
彼女に近づく害虫の末路は
彼女の知らぬところで蜘蛛の巣に何十にも絡められ
いずれは絶望の淵で最後の終焉を迎えるだろう.....。。。
彼女に触れること
声を聞くこと
見ること
全てが全て許されない。
彼女に近づく相手には最大級の後悔を....