迷惑な感情
6つ目 使用済み品を手に入れた
常識のない最低最悪な重度の中二病患者でしかないと知ってはいるけど、あえて聞いてもいいかしら?それは何?」
「波江...俺一応お前の上司なんだから、その発言やめろよ。失礼だろ。それにコレはどう見ても‘歯ブラシ‘だろ?」
「失礼という言葉に失礼だわ。謝りなさい。ところで、その歯ブラシで何をやってるのかと聞いてるのよ」
今までパソコンで仕事をしていた波江が気持ち悪いものでも見るような目で人をみてきた。
こいつの方が何倍も失礼だ。そのうえ、人の楽しみを邪魔までして...。。。
そんな俺は今、パソコンの前で歯ブラシをペロペロキャンディーのように口に銜えている状態だ。
「静ちゃんが口にタバコ銜えているのとそんな大差ないと思うけど?」
「それはタバコだからよ。あんたが銜えているのは歯ブラシでしょうが!それも私の思い過ごしでなければ....竜ヶ峰帝人のものなんじゃないの?あんたが口にかれこれ2時間も銜えている現状を考えれば」
「さすが波江!!優秀だとは思ってたけど、そこまで優秀だとは思わなかったよ!!そうそうなんとコレ!帝人ちゃんの歯ブラシなんだよ!!捨てるみたいだったから貰ってきちゃった」
帝人ちゃんの家に設置してある監視カメラで日課の帝人ちゃん観察をしていると、開いたからと新しい歯ブラシと交換している姿が映った。
朝の忙しい時間だったからか、その古い歯ブラシを捨てることなく台所のシンクの横に置いてあるのを見た瞬間、俺の次の行動は決定した。
帝人ちゃんが家を出たのを確認してから、俺も新宿のマンションを出てまっすぐ帝人ちゃんの家に向かう。
そして、帝人ちゃんの家に勝手に作った合鍵を使って入って、そのまま目的である歯ブラシを手に入れて持ち帰ったのだ。
「なんかさぁ....こうしていると、帝人ちゃんとき、き、キス...してるみたいだよねぇ」
「気持ち悪いわ」
「失礼な女だよね。たまには上司である俺の話でもちゃんと聞けば?」
「時間の無駄・耳の汚染・聞いて欲しかったら慰謝料よこしなさい」
「........」
帝人ちゃんへの気持ちを言葉に変換して、改めて実感したいのにこのブラコン。
まぁ、俺の帝人ちゃんへの溢れる想いなんてこの俺でさえ言葉にしつくせないんだけど、誰かに伝えたくて仕方がない。
それに想えば想うほど、帝人ちゃんに会いたくなってきた。
帝人ちゃんに会いたい。
帝人ちゃんの空気に触れたい。
帝人ちゃんそのモノ触れたい。
帝人ちゃんの--------------------
「あぁぁぁぁ!!!帝人ちゃんの空気に触れなきゃ可笑しくなる!!ちょっと帝人ちゃんの家に行ってくるから、適当な所で仕事終わらせて帰っていいから!!!」
「......了解」
いつも可笑しいという言葉は聞えなかった事にするよ...。
波江にそれだけ伝えると、愛用のジャケットを羽織って急いで玄関に向かった。
帝人ちゃんの家についたら、敷きっぱなしにしていた布団にコロコロ転がって、帝人ちゃんの香りを満喫しよう!!
気分はまさに心躍るバラ色