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雲月 ルカ
雲月 ルカ
novelistID. 17043
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迷惑な感情

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8つ目 いわゆる、変態



「...とりあえず、お茶だします」

「...はい...」

 玄関で固まっていた帝人ちゃんは、顔をひきつらせながらも何とか言葉をつないで台所に入っていった。
 俺はとりあえず、転がっていた布団を隅の方にたたんで、簡易テーブルを出して....ここは正座で待ってるべきだよね。
 うん。そういうわけで正座で帝人ちゃんを待つことにした。

「どうぞ」

「ありがとう」

「いえ...ところで、何で家を知ってるんですか?それでどうやって家に入って、尚且つ何をしていたんですか?」

「えっ...と...。帝人ちゃんは俺の職業が情報屋だって知ってるよね?で、帝人ちゃんの家を知っているのはそういう理由。情報屋って結構不規則な生活をしていてね。今日が平日だってことをすっかり忘れてて、帝人ちゃんに会いに着たんだよ!そうしたら玄関が開いてたからついつい入っちゃったんだ。ごめんね」

 本当に悪かったという表情と雰囲気を出してみる。
 結構納得のいく言い訳を瞬時に思いついた俺最高!これなら納得してくれるだろうと、帝人ちゃんを見てみると----

 あれ?

 帝人ちゃんは顎に指をあてて、すっきりしない顔をしていた。
 納得しているとはお世辞にも見えないよな...。もっと何パターンか思考してからしゃべった方がよかったかもしれない。

「...臨也さんが情報屋っていうので前半はわかりますけど...私今日、鍵をかけ忘れたかもって思って、一回戻ってかけ直しているので、かけ忘れはありえないんです。それに、私が戻ってきた時、布団に転がってなかったですか?」

 あ、あれ~...?

 コレって墓穴掘ったってヤツ?
 ここはヘタに言い訳するよりちゃんと俺の気持ちを伝えて、正直に言ったほうがいい気がする。

「ごめん!帝人ちゃん!俺嘘ついてたよ。本当は帝人ちゃんの家ってセキュリティーないから心配で心配で...。合鍵を作っちゃったんだ。何かあってもすぐに駆けつけるだろう?絶対に守ってあげるからね!それでね、俺帝人ちゃんの事を考えてたら、帝人ちゃんに会いたくて、会いたくて仕方なくなっちゃって...。でも、帝人ちゃん授業中だろうから、香りだけでも堪能しようと来ちゃったんだ」

 うわぁ...照れる。
 顔が火照って熱いからきっと真っ赤になってるんだろうなぁ。
 本当はかっこよくビシっといきたかったけど、帝人ちゃんにマジ告白だと思うと無理だ!
 でも、マジでいっちゃったよ!!今日から帝人ちゃんとはこ、こ、恋人同士だよね!!

 照れながらも帝人ちゃんを見てみようと顔をあげると、そこには頬をばら色に染めて嬉し泣きををしている帝人ちゃん....ではなく、青ざめた、波江が俺によく向ける視線と近いモノで俺を見つめる帝人ちゃんがいた。

「ま、まさか...最近よくモノがなくなると思ってたけど、それも.....?」

「あぁ!!大丈夫だよ!!俺がちゃんと宝物として大事に大事に保管してあるからね!!」

「ヒィ!!!へ、変態!!!」




 あれ?
 可笑しいな?
 なんで帝人ちゃんは青ざめてるんだろう?

 あぁ!!
 俺の気持ちがまだちゃんと伝わってないんだけだよね!!
 もっと、ちゃんとはっきり伝えないと!!


彼の耳には貴方の言葉は 
 
彼に都合のいい言葉に変換されて  
        

 伝わっていく-----

作品名:迷惑な感情 作家名:雲月 ルカ