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幸福論(微エロ)





 いっそこのまま蕩けて一つになってしまいたい。
 浅い呼吸の合間に、ルートヴィッヒはそんなことを考えていた。
 涙で滲む視界。蛍光灯の白さが目に痛かった。
「……っ、ルーイ、平気……?」
 苦しげなフェリシアーノの声に無言で頷き返す。もう小難しいことを考えている余裕なんてないルートヴィッヒは、ただただその腕に縋りつくしか出来なかった。
「フェリ、シアーノ、」
 低く掠れた声で呼べば、微かに笑う気配。
 金糸を撫ぜる指先は熱い。
「ルーイ、可愛い」
 ちゅっと額にキスを落とされる。濡れた唇が触れたその箇所は熱く、ルートヴィッヒは恍惚とした様子で瞳を閉じた。
 甘い微熱が身体から心に侵食して、どんどんといつもの自分を違うものに変えていく。けれどそれは決して嫌な感覚ではなかった。
 大好きな人の手。ぬくもり。言葉の一つ一つから滲み出る愛情を全て受け止められて、寧ろ、嬉しいのだ。
「フェリシアーノ……」
 縋りつく先を細い腕から背中へと。ぎゅっと抱き締めるようにすれば、フェリシアーノもそれに応えるようにして身体を密着させる。ぞくりとするものが背筋を這い上がって、ルートヴィッヒの目元に淡い朱が差した。
 惜しげもなく快感と愛情を拾う身体。最初は恥ずかしさにだけ支配されていたというのに、今ではもう、そのぬくもりが忘れられなくて。

 幸せなのだと、思えるほどに、彼の腕の中にいることが、嬉しくて。

「――すきだ」
 耳元で囁けば、彼もまた嬉しそうに笑って、俺もだよと返してくれた。