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プリムローズ

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 いつもならそろそろ急いで食堂のお掃除にとりかからないと叱られる時間なのですが、なんとなくさっきのプロイセンが気になって、僕はハンガリーさんが今の時間帯お洗濯をしているはずの中庭を通ってみました。
 予想通り、既にそこにハンガリーさんはおらず、プロイセンの姿だけがぽつんとありました。
 頬には真っ赤なビンタの痕。
「…プロイセン」
「うおっイタリアちゃん!?なんだよーまた会えるなんて、今日の俺様、超ついてるな!」
 振り返ったプロイセンが、無理矢理笑いながら慌てて隠したのは、さっきの豪華な髪飾りでした。
(ああ…やっぱり)
 予想していたことですが、なんだか僕まで悲しくなってしてしまいます。

 プロイセンは、ずる賢くて喧嘩上手ですが、じつはひどく不器用です。
 いつだって態度がでかく、僕はもちろんオーストリアさんにまでベタベタ絡めるくらい図々しいくせに、肝心なハンガリーさんとはどんな時もきっちり1メートル距離をおいてしか会話できません。
 屋敷にくるたび、女のひとが喜びそうなドレスや宝石、高価なアクセサリーや香水なんかをこっそり持って来るのですが、一度も受け取ってもらえたためしはないようです。

 ハンガリーさんにしてみれば、今の身分でそんな場違いに豪華なものをもらったところで困るだけし、他国の、しかもプロイセンからの無償の施しなど信用出来ない、というのがあるのでしょうが、たぶん一番問題なのは、それを渡す時のプロイセンの態度なんだと思います。

 例えば先月、とても綺麗な赤い絹のドレスを持って来た時のプロイセンの台詞。
「ようハンガリー相変わらず粗末な使用人衣装が板についてんな!あんまり貧相で哀れだから俺様がフランス特注流行最先端の服買ってきてやったぜ有難く受け取れ!!野蛮な田舎娘のお前でもちょっとはマシになるんじゃねーの馬子にも衣装って言うからなー!」

⇒イタリア語による意訳
『やあ今日も可愛いね!どんな服着てたって君は素敵だけど、もし良かったら僕の選んだ服を着て見せてくれないかな?きっとお姫様みたいに良く似合うと思うんだ!!』

 そしてこれは先週のよく晴れた休日の台詞。
「見ろよハンガリー!スゲーいい馬手にはいったぜ羨ましいだろ!どうしてもって言うなら乗せてやっても良いぜ!でもお前下僕暮らしが長すぎて馬の乗り方なんざ忘れちまっただろ?し、し仕方ねえから、向こうの湖まで一緒に乗せてやらねーこともないぜ!感謝しやがれ!!」

⇒イタリア語による意訳
『やあ元気にしてるかい?毎日忙しいらしいね、昔みたいに大好きな遠乗りに行くことも出来ないって聞いたよ。良かったら気晴らしに僕とちょっと出かけないかい?君の瞳に良く似た色の、美しい湖まで、是非連れていってあげたいんだ。――君さえ良ければ、僕の馬に一緒に乗ってくれたら、最高に幸せなんだけどな!』


作品名:プリムローズ 作家名:しおぷ