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ちんぷるんこ
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novelistID. 20227
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昼下がりの魔法使い達は

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「というわけだ…この本達は有り難く永遠に借りさせてもらう!」

桂の思わぬ言葉に総悟が顔を上げたときには、もう桂はサンタクロースさながらの袋を抱え箒に跨り地を蹴っていた。

「桂!テメーいつの間に!」

転げ落ちそうになりながら立ち上がり魔導書を手に取ると、総悟は素早く頁を捲る。
対する桂は箒を急発進させ、本棚で出来た迷路をあちらこちらと飛び回っている。
あまりのスピードに本棚からバッサバッサと幾多の本が落下し、おまけにそれを図書館中でやるものだからあっという間に紅魔館図書館の床は本の落ち葉で埋め尽くされてしまった。

「フンッ、素直じゃないからこういう目に遭うのだ!」

振り返り笑う桂に、思わず総悟の手が止まる。

「あ、おっ…俺は…別に……」

ついさっき戻った顔にみるみる血が集まり、熱を帯びて赤く染まっていった。

――な、っ…何してんでィ、俺!

はっとし唇をきつく噛むと、総悟は床を蹴り飛び上がった。


「待てェェエ!桂ァァア!」

総悟の声に気づいた桂は振り返り、箒を握る右手に力を入れた。
帽子が飛ばないように左手を添えれば、総悟の反撃から逃げ切るべく加速する。

「ロイヤルフレア!」

総悟が声高に叫び両手を上げると、図書館中を照らす太陽が現れる。
そのまま勢い良く両手を下ろせば、桂の背中目掛け黄金色の光塊が飛んで行った。

爆風から薄く浮かび上がる桂を見下ろし、総悟がすうと口を僅かに開く。

「今日は喘息の調子がいいんで手加減しやせんよ。」

ふわりふわりとクリオネのように漂う総悟に、桂は眉を寄せポケットを探る。

――まったく世話の焼ける奴だ…付き合うか、それとも。

深く被った帽子から総悟をチラッと見て、愛しさを添えた溜息を漏らす。


総悟の挑発に乗って振り向き八卦炉を構えるも、桂の口から出てきたのは呪文ではなかった。

「俺は貴様が散歩に付き合うまで本を借りに来るぞ!大事な本が尽きる前に素直になるんだな!バイビー!」

弾幕はパワーと豪語する桂の声は、たしかに図書館中に響き渡った。
放った恋符が総悟を貫いたことを確認すれば、桂はふっと笑いあっという間に図書館から姿を消してしまった。

――覚悟するんだな、沖田総悟…

大きな重い扉は吹き飛ばされ、ふわりと心地のよい風が紅魔館図書館に流れ込む。