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エンドレスラブソング@12/13完結

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後篇 Ⅰ





彼の願いだったんです。





冷たくて硬い、機械の身体を抱きしめたまま動こうとしない静雄に、帝人をずっとメンテナンスしてきたスタッフは言った。

機能全てが停止する前に、一度でいいから、最期でいいから、唄いたい、と。
貴方の前で、貴方のために唄わせてと、彼が願ったんです。

機械としての限られた命を延ばすよりも、ただひとりのためにもう一度唄う事を望んだボーカロイドは、静雄の腕の中で時を止めた。
もうこの眸が開くことはない。
二度と静雄に小言めいた言葉を吐くこともない。
しょうがないと笑うこともない。
静雄の名を呼ぶことも、ない。
二度と、・・・・・・永遠に。




「・・・ちげぇだろ、帝人。なあ、こんなの、悪い冗談なんだろ?ほら今すぐ目ぇ覚まして、びっくりしました?とか、いつもの感じでさ、言えよ。冗談だって、笑い飛ばせよ、・・・・なあ、帝人、お前、・・・・ウソだろ、こんな、」




俺はお前に何一つ、伝えていないというのに、
(そんな、何の未練も無いみたいな顔して、目を閉じて、二度と起きることが、ないとか)
冗談だろ。なあ、帝人、頼むから、


「嘘って言ってくれよ・・・・・・!!」


お前の言葉で、お前の声で、否定して、この現実を、この終焉を、でなければ俺は、



「・・・・みかど」



歩くことすら、できなくなる。