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ふざけんなぁ!! 3

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挙動不審に陥った部下に、面倒見の良いトムのフォローが入ったけれど、最初の『嫁さん貰う』の一言で、彼のキャパシティを超えてしまったらしい。
ますますポンっと真っ赤になった彼は、照れてもじもじしながらぎゅううううううううっと、帝人を力強く、万力のように抱き締めだし、またもや彼女を命の危険に晒しやがる。

『でも、おばさんガッカリ。てっきり『帝人にお赤ちゃんができました♪』なんて言う報告かしらって、実は胸がドキドキしてたのに。若いお婆ちゃんって、憧れなのよぉ~』

はい?
母よ、今貴女、何を言ってくれちゃいやがりました?
誤解した静雄が益々照れて、更に腕が今、締まりましたが。


『帝人には中学時代の三年間かけて、何時でもお嫁に出せるよう、家事と裁縫をみっちり仕込んであるし』


「……知らなかった……」
それで中学入学と同時にエプロンを押し付け、貴女はパートタイムに行きだしたんですか。
家のローン返済の為に、夫婦共に稼がなきゃならないからっていう両親の言い訳を信じ、一生懸命自分なりに家事を頑張った結果、お陰で何処の部活にも入れない有様だったんですが。
それに何か、話の流れが変になってきてるし。

『二人が一緒に暮らしてるものだと思っていたから、うちのお爺ちゃんとお婆ちゃんも、『今度の夏休み頃には二人揃ってお家に帰ってくるだろうから、婚約のお祝いを盛大にしにゃいかんねぇ』っていっていたし、お父さんも、これで正臣が婿養子に来てくれるのは確定だって喜んでいたのに、残念だわぁぁぁぁ』

「……ヤベェ……」
携帯を静雄に差し出しながら固まっている、正臣の顔色がみるみる白くなる。
静雄の腕も、ぶるぶると震えだす。
今、確実に部屋の温度がツンドラ並みに下がりました。
ここはロシアの凍土ですか?

『私も、娘と一緒にこの手で育てた男の子が、回りまわってくっついてくれたらって、ずっと夢だったし♪ 『もしかしてもう叶っちゃったかしら♪』って、ここ二ヶ月ドキドキ浮かれてただけに、今本当にがくっときたわ。うーん、芸能人のお宅って聞いてはしゃいじゃったけれど、やっぱりここは堅実に幼馴染LOVE♪ 最高よねぇ♪』

「ふざけんなぁぁぁぁぁぁぁ!! 好きな人は、自分で選ぶわ!!」
ぶち切れて絶叫した瞬間、とうとう金髪の魔人も、怒りの咆哮を上げた。

「帝人は俺のもんだぁぁぁぁぁぁ!!」

正臣の携帯は、引っ手繰られた上、ばきっとへし折られ、粉々に粉砕されて部品がフローリングの床に転がった。
そのワンクッションがあったからこそ、正臣も脱兎で逃げる余裕があって。

「何が双子の兄だ!! この野郎、待ちやがれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
今までずっと騙されていた事に、とうとう気づいてしまった静雄は、怒り狂って飛び出していき。
「静雄!! 落ち着け!!」
門田が食い止めるべく、駆け出していき、それを野次馬根性丸出しな、遊馬崎と狩沢が、はしゃいで見物に走り、その二人を止めるべく、渡草が飛び出していく。

池袋の荒れ狂った長い夜は、まだまだ終わらなかった。


★☆★☆★


臨也が新宿の自宅兼事務所に戻ると、常時繋ぎっぱなしになっていたパソコンが、全てオシャカになっていた。
画面一杯、沢山開いた窓には、タロット……、大アルカナの三枚目、【女帝】のカードで全て埋め尽くされている。
誰がやったのか一目瞭然な上、これ程判りやすい置手紙も無い。


今日脅した報復を、今日のうちに行うなんて。
しかもこの折腹臨也に、真っ向勝負とは。


「面白い。これは、宣戦布告と受け取っていいのかな? 帝人ちゃん?」

新宿に住まう黒衣の悪魔は、高らかに笑った。




作品名:ふざけんなぁ!! 3 作家名:みかる