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ふざけんなぁ!! 3

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12.好きだ。俺の彼女になれ!! 中編



「みかどぉぉぉぉぉぉ!! 手前の頭には、学習機能がついてないのかぁぁぁぁぁ!! ノミ蟲野郎には近づくなって、俺はクドイ程念押しした筈だよなぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」


静雄の咆哮を、帝人は床に正座したまま項垂れ、肩を落として神妙に聞いた。
今の彼に逆らうのは、命をドブに捨てるようなものだ。


フルーツ・パーラーのガラスは現在、粉々にぶち割られてしまった。
臨也が座っていたソファーには、大型車通行禁止の標識が深く突き刺さり、食べかけの特大パフェは、ほんのちょっとしか齧ってないのに、勿体無いことにも器ごと床に払いのけられ、でろでろのアメーバー状態に溶けてしまっている。


新宿の黒い悪魔はとっくの昔に消え、瓦解した店内の厨房では、ガタブルに震えた店員さん達が身を寄せて集まったまま固まり、怯えた目でこっちを遠巻きに見ている。
以前マンションオーナーの渡草さんに、池袋のテナントは、損害保険の加入率が異様に高いと聞いた事があるが、それはきっとこの男が原因だろう。
額に青い血管をぶちぶちに浮かび上がらせ、怒れる金髪のバーテン相手に、壊された店の損害賠償金を、請求できる勇者などいる訳がない。


「まぁ静雄、そう怒ってやるな。帝人ちゃんにもきっと、それなりの理由があるんだろうし」
いつの間にか、ひょっこり現れたトムさんが、帝人に助け舟を出してくれた。
少し冷静さを取り戻したのか、静雄も額に青い血管を浮かび上がらせたままだけど、ぎりぎりと歯軋りしながら顎をしゃくった。
「なら言ってみやがれ。二人で仲良く一個のパフェをつついていやがったそれなりの理由って奴をよぉぉぉぉぉぉ」

(トムさん、何時もありがとうございます!! 今度鍋する晩、絶対招待します!!)

帝人はまっすぐに静雄の琥珀の瞳を見上げた。
やましい事など一切無いと、彼に態度で示す為にも、こういう時には絶対、どんなに恐ろしくても顔を逸らしてはいけない。

「また良からぬ事を企んでいそうでしたので、私も情報収集してみようかと思いまして」
「ノミ蟲相手に、お前みたいな世間知らず馬鹿が、一体何を聞けると思ってやがる!! 騙されるのがオチだ!!」

内心むっとした。
静雄の頭の中では、未だに帝人は、ド田舎から街に出てきたばかりのおのぼりさんなのだ。
彼のような存在感のありまくりな人間の横に立てば、自分は吹けば飛ぶように頼りないのは判っている。
けど、自分には、ダラーズの【EVE】だというプライドがあり。
ただの馬鹿呼ばわりは悔しすぎ、それでも怒れる静雄相手に真っ向から逆らう愚は犯せなくて。


「あの、多分ですけど……、あの人、静雄さんの家に、盗聴器しかけてますよ」
「あぁ?」
「会話の節々で嘲笑ってたんです。私、二週間待っても告白すら貰えなくて、可哀想だねって」


小動物の知恵に法り、帝人は静雄を見上げたまま、青い瞳に大粒の涙をじわりと溜めた。
途端、池袋の自動喧嘩人形は、油が切れたブリキ人形のように、ギクシャクした動きでおろおろと頭を抱えた挙句、縋るような目で上司をガン見する。
このヘタレめ。
情けなくも可愛い男の姿に、溜飲を下げた帝人は、泣き顔を浮かべたまま心の中でぺろりと舌を出した。

もはや静雄だけでなく、彼女にとっても頼れる存在となったトムが、大きく溜息をつきつつ、ズボンのポケットから黒い携帯を取り出した。
聡い彼は、帝人の小悪魔さを十分に理解しつつも、二人の恋を応援してくれる。
本当に、いくら感謝してもし足りない稀有な人だ。


「帝人ちゃんも、いくら静雄の為だからって、体張る必要は無いから。同じ器で一緒のモンを食えば、薬とか盛られる可能性も低いって考えたのは偉いけど、鳩尾に一発も入れられりゃ昏倒するだろし、攫われりゃ結果は同じだべ。兎に角、あの最低男に一人で立ち向かおうなんて考えず、まず静雄を頼れ。こいつは、頼もしいあんたの保護者なんだからさ」


旨く纏めてくれたお陰で、静雄の頬もぽくぽくと赤くなり、機嫌もみるみる内に良くなった。
ああ、流石ですトムさん。
伊達にこの人の先輩を、12年もしてきた訳ではないんですね。


「それから静雄、まずお前の家中を調べるぞ。相手は臨也だ。素人のお前らじゃ話にならないから、専門職を呼ぶべ」
「うすっ」


★☆★☆★


トムが手配した専門業者『盗聴器バスターズ』が、二時間に渡って静雄のマンションをまんべなく調べた結果、何と十五個もの小型機械がぞろぞろと発見された。

大抵がコンセントカバーの裏側に取り付けられるタイプであった為、盗聴器を作動させる電力まで勝手に使われていたのかと思うと、帝人の貧乏性な性格では、どうしょうもない会話を盗み聞きされていた事よりも悔しい。

鍵はピッキング防止用の、重厚な作りのものに取り替えられた。
今後の対策として業者が言うには【電気代が去年より異様に上がったな…って思ったら、大抵変なものが取り付けられたと思ってください】との事だった。

彼らが言うには、最新型(多分、臨也がつけていたもの)の他、ここ数年、使われずに放置されていたと思わしき旧型のタイプのもあるから、静雄だけでなく、羽島幽平がらみで変なストーカーが湧(わ)いていた可能性もあるそうだ。

業者達にお礼を言って、丁寧に彼らを外に送り出した後、仕事に行ってしまった静雄へと、事後報告の携帯メールを打ち込んでいたら、何故かトムの方から先に送信されてきた。

【仕事帰り、臨也をぶっ殺してくるから、帰りはメチャメチャ遅くなる。夕飯先に食って寝てろ】とある。

誰がどう見ても、静雄が打ち込みそうな文面だ。
どうして?? と、首をこくりと傾げると、原因は直ぐに判った。
業者に仕事を依頼し、実際に費用を払う側の静雄のほうに、帝人より先に結果報告の連絡が行ったのだ。


「盗聴器、脱衣所にもあったからねぇ。童貞な静ちゃんの性格ならさ、変な妄想でもやもやしちゃって、ぶっちぎれてすっとんでいってもおかしくないでしょ?」


独特の人を小馬鹿にした口調に驚き、振り返ると、ベランダから侵入してきたらしき黒いファーコートを纏った悪魔が、にたりと微笑んだ。
このマンションの部屋は三階にある筈なのに、どうしてここにいるのだろう?

「玄関の鍵を取り替えたって無駄だよ。俺、パルクールの名手だからね♪」

彼は硬直する帝人の目の前で、コートのポケットの中から、厳重にセロテープで密封された、ハンカチサイズに畳まれたビニール袋を引っ張り出す。
中には怪しげなガーゼが入っていて、嫌な予感に帝人の心臓がどくりと跳ねた。

「……な、何する気……?」
「うん、その台詞、ありきたりでホント興醒め。大した事じゃないんだけど、ちょっと理科の実験に付き合ってもらおうかなって」
「は?」

相変わらず、この男は何を考えているんだか判らなくて不気味だ。

「さて、学校の水を張ったプールに投げ入れる、固形の真っ白い石みたいな大きい消毒剤の欠片にさ、その辺の薬局で簡単に買える、消毒用のエタノールをちょっぴり垂らすとどうなるでしょうか? あー、言っておくけど、逃げたら容赦なくナイフで刺すからね。痛い思いをしたくなかったら、逆らわない方がいいって、忠告しておくよ」
作品名:ふざけんなぁ!! 3 作家名:みかる