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マルナ・シアス
マルナ・シアス
novelistID. 17019
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【東方】東方遊神記15

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そして藍を加えた4人は甘味処で一息つき、早速本題に入った。
「単刀直入に聞くけど、今紫って起きてる?」
諏訪子のこの問いかけに、藍は表情を少し強張らせた。
「・・・なぜ、そのようなことを?」
「うん。実はさ、この娘がこっちに来た経緯を聞くと、どうも紫に連れてこられた可能性がすっごい高いんだよね、っていうかもう紫確定でしょ、みたいな?」
なんか癇に障る喋り方だね・・・おっと、集中集中。
「というと?」
「両端にリボンの結び目が付いた空間の亀裂に飲み込まれて、気が付いたら家の神社にいたって話なんだよ」
「そうですか・・・」
藍は諏訪子の話を聞いて、何か思案するかのように目を閉じた。
「で、さっきの質問に戻るけど、どお?紫起きてる?」
「・・・ええ、紫様は起きていらっしゃいます」
これ以上隠していても意味はないと思ったのか、藍は白状するような形でそう答えた。「やっぱりそうなんだ。で、それは今回はたまたまなの?それとも実は毎年寝てないとか?」
「そこまで教える義理はありませんね」
藍の口調が少し強くなった。確かに諏訪子は少し余計なことを訊き過ぎている。
「・・・それもそうだね、じゃあそれはいいや。それでさ、今この青ちゃんを幻想郷の皆に紹介して回ろうって計画してるんだ。あと、この前僕たちがやらかした騒ぎの謝罪もして回ろうと思ってね。それで、紫の所にもお邪魔したいんだよ。明日正式な使者として文がそっちへ行くから、もし紫が起きているなら、話をする場を作ってほしいんだ。親睦も深めたいしね」
そう話す諏訪子の顔はニコニコしているが、最後の一言には何か含みがある気がした。「アヤというのは射命丸さんのことですよね。彼女なら紫様もよくご存じの方だ。問題ありません。紫様に伝えておきましょう。全ての判断は紫様にお任せします」
「よろしくね。・・・あ~疲れた~。これで今日の任務は完了だよね?やっと家に・・・」
「藍殿っ!!」
諏訪子がウ~ンと背伸びをしながらそう言い終わる前に青蛙神が洋卓・・・もうテーブルでいいか。テーブルに思いっきり両手をつき頭を下げながら大きな声で叫んだ。載っているお皿や湯呑みがガシャン!と大きな音を立てる。
「・・・背伸びしている途中にビックリさせられると、凄い気持ち悪い・・・」
「大きな声・・・」
「どうしました?青蛙神さん」
諏訪子と早苗はもう慣れたので驚かなかったが、初めてのはずの藍も驚かなかった。
「紫殿との話し合いの件、なにとぞ、なにとぞ宜しくお願いいたします!」
先程思っていた『あの娘』のことを頼もうと思っているのか。
「私に言われても困りますが・・・青蛙神さんが真剣であることは伝えておきます」
「よろしく、よろしくお願いします!」
青蛙神は再度深々と頭を下げた。・・・この娘、最初はあんなに尊大だったのに、かなり腰が低くなっちゃったねぇ。まぁ自分よりも凄い奴らに立て続けに会ってるんだから、そりゃあ腰も低くなるか。
「よし!じゃあもうこの話はお仕舞い。僕たちは残りの買い物を済ませちゃおう。そろそろ神奈子がやさぐれ始めてるだろうから。ここは僕が奢るよ」
「いやっ、それは」
「いいからいいから、早苗、お勘定ヨロシクね」
「はい」
「・・・すいません。御馳走様です」
「これくらいで大袈裟な。そうだ、青ちゃんどうだった?餡蜜は美味しかった?」
「・・・え?あっ、はい、優しい甘さで美味しかったです」
青蛙神はまた思考の穴状態に入りそうになっていた。そんな彼女を藍は難しい顔をしてみていた。頭の良い彼女は、今頭の中で色々なパターンをシミュレーションしているのだろう。

甘味処を出たところで藍と別れた三人は、残りの買い物を済ませ、神奈子の待つ里入口に戻って来た。案の定やさぐれていた。
「・・・あんたたちはあたしに何か恨みでもあるのかい?」
いくら神力のおかげで寒くないとはいえ気分的には寒空の下長時間、ていうほどでもないが、一人ぼっちで待たされれば、こうも言いたくなるものである。
「小さいものならいくらでも」
「私は感謝こそすれ、恨みなんて一つもありません」
「恨みなどめっそうもない」
そして三者三答。
「・・・で、買い物上手の早苗がいながら、これだけ時間がかかったんだから、何か思わぬ収穫があったんじゃないかい?」
「そうなんだよ。実はさっき藍に会ってさ・・・」
買った食材と皆を乗せて、守屋神社に帰る途中、里での事の顛末を神奈子に説明した。青蛙神が必死にお願いしていた事については触れなかった。時がくれば、本人が直接言ってくれるだろうと思ったからだ。