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幸せなイブの日

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池袋最強の男、平和島静雄。
そんな男が眉間に皺をよせ、険しい顔で歩いていれば池袋の住民はそそくさと道をあける。
道をあけられてる事にも気づかないまま静雄はずんずんと進んでいた。
そんな険しい表情とは裏腹に、手にはアクセサリー屋の紙袋が握られている。
「くそっなんで俺が・・・」
ぶつくさとつぶやきながら池袋の街を家へと歩いていた。


なぜこんなにも不機嫌なのか。
事の起こりはつい先日。
顔をみただけで喧嘩へと発展する折原臨也が池袋に現れた事から始まる。


「いーざーやああああああああ!!!手前何度いやぁわかるんだ!?
 池袋には足ふみいれんなっつってんだろぉ!?」
「もぉシズちゃんは相変わらずうるさいねぇ。ここは誰の街でもない。
 よって、シズちゃんの許可とか必要ないし。」
「ゴチャゴチャうるせぇ!このノミ蟲がぁ!!」
叫ぶとともに近くにあった道路標識を引っこ抜きそのまま投げつける。
「おっとあぶない。」
ひらりとかわす臨也だが、
キンッ!
小さな金属音が響く。
標識にほんの少しかすったと思われる臨也の左手からひとつ指輪がなくなっていた。
「あーあ!シズちゃんがバカみたいに標識なんてもの平気でなげるから指輪が壊れちゃったじゃん。
 意外と高いんだよ、こういうの。どうしてくれるのさ?」
「あぁ?知るかそんなもん!!池袋に現れた手前がわりぃ!」
近くにあったゴミ箱をぶん投げる。
ゴンッ!!
いつもならこんな物軽くよける臨也に、ゴミ箱は見事命中した。
左手を見ながら微動だせずにゴミ箱を受けた臨也に静雄の動きが一瞬とまる。
「まったく。ほんとシズちゃんってデリカシーにかけるよね。
 今日はシズちゃんと遊んでる気分じゃなくなっちゃった。俺は新宿に帰るよ。」
そう言ってひらりひらりと自販機やベランダをつたって建物の屋上へと行き、そのまま逃げていった。
いつもの臨也らしくないせいで、追いかけることを忘れて立ち尽くす静雄。
「なんだってんだ、ノミ蟲のやつ・・・。」






「くそっ。俺はあいつに負い目があるなんてのが嫌なんだ。」
ぶつぶつ言い訳をいいながら家へと帰ってきた静雄。
「あああああああああああめんどくせぇ!!」
そういいながら指輪の入った紙袋をひきっぱなしの布団へ投げる。
「ったく。なんだってこんな時期なんだ。」
放りなげた紙袋を見ながら静雄は先ほどの店員とのやりとりを思いだす。


「これと同じもの下さい。」
コロンと静雄が店員に差し出したのは真っ二つに割れた指輪。
外のショーウィンドウに同じ指輪があるのを見て、店に入ってすぐ店員に話しかけた。
「あ、はい、かしこまりました。ご用意しますので少々お待ち下さい。」
真っ二つに割れた指輪にとまどいながらも奥に消えていく店員。
ほんの5分ぐらいが、静雄にはとても長い時間に感じられた。
なぜなら店の中はクリスマス直前なだけにカップルだらけなのだ。
「お待たせいたしました。こちらで宜しいですか?」
「あ、はい。」
「贈り物ですか?クリスマス用でしたらそちらのラッピングサービスもございますが?」
「あ、いや、いいです。・・・その、適当で。」
「ご自宅用ですか?」
「いや、人に・・・。」
「でしたらこちらの箱にお入れして・・・」
「いや!箱とかいらねぇんで!」
恥ずかしさでつい声が大きくなる。
「あ、いや、すんません。なんか適当に・・・えっとその袋に入れてもらえればいいです。」
すぐ横に見えたクリスマス用の『MerryChristmas』と書かれた小さな赤い袋を指さした。
「は、はい。かしこまりました。」
おどおどしながらも店員は指輪を赤い小さな袋に入れ、ゴールドのリボンで器用に口を閉じる。
それを、店の名前の入った小さな紙袋にいれて
「た、たいへんお待たせいたしましたぁ。」と手渡してくれた。
会計をすませ、「ども。」と一言いうとそそくさと静雄は店を後にした。
店員をおびえさせてしまって悪い事をしたと思いつつ、
それもこれもイザヤのせいだとますます腹を立てながら険しい顔で池袋の街を歩いた。


作品名:幸せなイブの日 作家名:にゃあこ