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きみこいし
きみこいし
novelistID. 14439
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聖なる夜に口づけを

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ツナヨシの瞳に諦観の色を読みとったのか、リボーンは秀麗な微笑を浮かべると、ゆっくりと首をかたむける。彼の吐息が鼻先にかかり、くすぐったさにツナヨシは身じろぎする。それを見たリボーンも笑って。
「ツナ・・・」
囁くようにツナヨシの名を呟くと、そっと唇を重ねた。
「んぅ・・・」
甘い、甘い、とろけるような口づけ。
「ツナ」
「ん、リボーン」
間近に覗き込む黒曜の瞳が、琥珀の瞳を捕らえて離さない。
――――いつから。
一体いつから、この男はこんな眼をするようになったのか。
いつもは鋭く冷徹な意志を秘めた黒曜石の双眸、それが今は妖しく濡れて。
射ぬかれたツナヨシの背筋にビリビリと電流が走る。
――――怖い、と思った。
この男が、リボーンが、その眼に宿る熱が、ツナヨシの中で決定的な何かを溶かしてしまう。こみ上げる衝撃に抵抗すら忘れたツナヨシの唇をペロリとなめると、リボーンは彼の細い首に顔をうずめる。首筋に舌を這わせては、時折やわらかな肌にじゃれついて、噛み痕を残していく。
「う、あ・・・やめ、リボーン!」
その痛みと言い知れぬ快感に細身の体がはねあがる。
たまらず声を荒げるツナヨシに、リボーンは低く囁いて。
「いいぜ、ダメツナ。好きなだけ鳴けよ。だが止めてはやれねぇな」
「リボーン・・・」
そう囁く声は、甘く、甘く。熱い吐息が耳朶を刺激して。
ビリビリと体中がしびれて、思考回路もショートする。
(こんなのは、たまらない・・・)
熱を帯びて潤んだ琥珀の瞳。目尻に浮かぶ涙に口づけて、リボーンは更にその手を進める。パジャマの下衣に手がかかり、いくら鈍い自分でもこれから何をされるのか、理解してしまう。
脳裏に点滅する危険信号に、頭の中はパニックだ。
(う、あ。ヤバイ。この状況は、非常にマズイ!誰か助けて・・・)


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


こみ上げる熱に揺れる意識と必死に闘うツナヨシの耳に、扉の向こうで言い争う声が聞こえてきた。
「なはは。でもさ、同じ事思いつくなんて、やっぱオレたちいいコンビだよな」
「て、めぇ。うすら寒いこと言ってんじゃねぇ!いいか、お前はついでだ。ついで。あくまでオレが発案者だからなっ」
「・・・獄寺って、案外セコイのな」
「なんだと、この野球バカがっ」
「しー!ツナ起きちまうぜ?」
「ったく、いいか山本。静かに、そっと、可及的速やかに目的を達成すんぞ」
「ん、オッケ。枕元にプレゼントを置いてけばいいんだろ?ツナ喜ぶだろーな」
「いくぞ」
ガチャリと寝室の扉は開かれた。
そうして、部屋に足を踏み入れたツナヨシの∧嵐∨の守護者・獄寺隼人と∧雨∨の守護者・山本武(どこで調達したのかサンタの衣装だ)の視界に飛び込んできたのが、ベッドの上でツナヨシに跨っているリボーンの姿だった。
おまけにツナヨシのパジャマは剥かれて乱れて、白い肌が闇に浮かびあがる。両手はしっかりとリボーンのそれに拘束されて、火照った肌に潤んだ瞳、たまらず喘ぐ吐息は甘く、切なげで。
―――――とてつもなく、目に毒な光景だ。
「なっ!十代目!!リボーンさん、何してんッスか!!」
獄寺は半裸に剥かれたツナヨシを視認するなり、ぶはっと鼻血を噴き出して。
「お、小僧。プロレスごっこか?オレも混ぜてくれよ」
山本は相変わらずのズレた発言だが、その目はがっちりとツナヨシに固定だ。なんというか、『記録』という単語がしっくりくる視線だったりする。
二人の反応がどうであれ、『渡りに船』とはこのことだ。
ハッと我に返ったツナヨシは、必死に救いを求めて手を伸ばす。いや実際には、両手はリボーンに拘束されてるから、声だったのだけど。
「ご、獄寺くん!山本!助けてっ」
敬愛する十代目の救いの声を、親友のSOSを、拒むことなどできようはずがない。
「十代目!」
「ツナ!」
愛用のダイナマイトと時雨金時を構えた二人に、リボーンは愉しげに嗤う。
「いいぜ、かかって来いよ。獄寺、山本」
「リボーンさん・・・」
「小僧・・・」
「手加減はしてやらねぇがな」
どこから取り出したのか、手早くツナヨシを手錠でベッドに拘束すると、リボーンはゆっくりと立ち上がった。

――――最強の殺し屋(ヒットマン)、復活の名を持つ黒衣の死神。
畏怖の念をもって囁かれる通り名と、数々の伝説に語られるこの男を相手に、二人がかりは卑怯などと言っている余裕は、自分たちにはない。
立ちふさがる強大な壁にゴクリと喉をならすと、獄寺と山本は動いた。
「いくぜ!!」
「おう!」
時雨金時の刃を抜いた山本が駆ける。同時に獄寺は大量のダイナマイトをリボーンに投げつけた。
「果て・・・てください、リボーンさん!ロケット・ボム!!」
いつもの決めセリフにも、相手が相手なのかどこか勢いがない。だが、繰り出される技は相変わらず凄まじい。空間自体を埋め尽くすように投げ込まれたダイナマイトは、変則的な動きに加えて、時間差で爆発するよう導線にも改良済みだ。一つの爆発がいくつものダイナマイトを誘爆。次々に連鎖反応を起こした爆発は最終的には何十倍もの威力に膨れ上がる。相手に一切隙を与えない怒濤の攻撃、まさしく嵐の攻めだ。
「ふ、甘ぇな」
だが、リボーンは顔色ひとつ変えることはなく、銃の引き金を引くと迫り来る大量のダイナマイトを次々と打ち落とす。
『最強』の二文字は伊達ではない。
さっさとダイナマイトを片づけたリボーンは、獄寺に銃口を向ける。
「くっ、させるかよ!」
咄嗟に獄寺はミニボムを誘爆させると、煙に紛れて床を蹴り後退する。追ってリボーンも一歩足を踏み出すが、その瞬間、爆煙の中から人影が飛び出した。
「いくぜ、小僧!時雨蒼燕流・・・攻式八の型・篠つく雨!!」
ダイナマイトの煙幕に身を潜ませて、リボーンの間合いに入った山本が刀をふるう。
キンッと硬質な音が響いて、薄れゆく煙の中に組み合う二つの人影。
武器を十手に変身させて刀を受け止めたリボーンと、対峙する山本だ。間近に視線を交えた二人はニヤリと嗤って。
「やっぱ、さすがだな」
「なかなか、いいコンビプレーだぞ」
「まだまだ、これからだぜ!はっ!!」
さらに繰り出される鋭い斬撃。けれど、リボーンは器用にもリーチの短い十手で受け流す。
「なら、これでどうだ!――――攻式十の型・鮫衝撃(アタッコ・ディ・スクアーロ)!!」
「ちっ」
さすがに激しい衝撃波すべてを受け流すことはできず、ぐらりとリボーンの体が傾ぐ。
「獄寺!」
「るせぇ、言われなくても準備万端だぜっ」
山本から距離を取り飛びずさって後退したリボーンの足元には、転がるダイナマイト。
いつの間に仕掛けられていたのか、戦闘の先を読んで仕掛けた獄寺が吠える。
「これで終わりだぜ!」
「・・・いや、まだだぞ」
タトンとリボーンは軽々と着地すると、散らばるダイナマイトを器用に足で蹴り飛ばした。
「「んな!!」」
――――何という身のこなし。
蹴り飛ばされたダイナマイト、それが向かう先は暖炉だ。本格的な石組み作りで、実際に薪を燃やして使用できるのだが、空調の整ったボンゴレ屋敷では使用されていない。
その暖炉にダイナマイトは見事に飛び込み―――――爆発した。
作品名:聖なる夜に口づけを 作家名:きみこいし