二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

雨 The rain and my foolish pain

INDEX|5ページ/9ページ|

次のページ前のページ
 

 どう返事をすればいいのか考えるのに時間がかかったが、受話器の向こうでマスターが息を顰めて待っていると思ったらくすり、と笑ってしまった。マスターにとってはとっても重大な決心なのだろう。それに身体がほんのりと温かくなるのを感じながら、祝福するようにゆっくりと返す。

「よかったです」
「いいのかな、わからないけど」

 照れ隠しのような返事にまた頬が緩むのを堪えた。頑張って下さい、と言えば、ありがとうと言うマスターの声音が嬉しくなっているのを感じる。
お花。お花だこれは。マスターはやっぱりお花だ。

「じゃあね、ルカ。大好きだよ」
「はいはい」

 最後は適当に流して電話を切る。あの子から? と、電話に気付いて起きてきたらしいマスターのお母さんに、ええ、と答えると、馬鹿ねえ初めての入院じゃないのに、と呆れた風に言って、また寝室へと踵を返す。

「おやすみなさい」
「おやすみなさい、マスターのお母さん」

 背中にそう声を掛けて、今度こそ私も部屋へ戻った。
 電源を落として意識がなくなる直前、もしかしたら今少しだけ寂しいかもしれない、と暗闇の中で一人思った。
作品名:雨 The rain and my foolish pain 作家名:つえり