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Confetti candy Love(英米)

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アメリカから電話がかかってきたのは俺が風呂からあがってすぐ、午後10時に
携帯が鳴った。
電話の用件は一週間後に俺の家で迎えるクリスマス休暇についてで
久しぶりに会えるせいか、いつになく弾んだ声でアメリカは予定を組み上げていた。
浮かれていたのはアメリカだけじゃない。
俺も久しぶりのアメリカの逢瀬とあって、気合の入れたクリスマスディナーを
作るつもりでいた。
ところがそのことをアメリカに告げたところ、あいつはとんでもない言葉を
吐きやがった。

「記念するクリスマスまでキミのクソまずい料理なんて食べたくないね」

頭が真っ白になったなんてもんじゃなかった。
携帯を握りしめたまま、俺は崩れ落ちるように床にへたり込んでいた。
この台詞の後もアメリカはいろいろ言っていたがほとんど理解していなかったし
覚えてもいない。
ただあいつの食べたくないという言葉だけが強く心に刻まれていた。
次の日の仕事の最中ですら俺はその言葉に捕らわれていた。
アメリカと恋人として初めて過ごすクリスマス。
だからこそ、腕によりをかけた御馳走を作ろうと思った。
けれどそれは他ならぬアメリカによって否定された。
ならば、どうすればいいのか。
一晩中考えた俺はその翌日、仕方なく髭野郎の家のドアを叩いた。
「叩いたっていうか粉砕したよね」
付き合って初めてのクリスマスだからこそ、俺のまずいメシじゃなく
うまいもの食わせてやろうとこんな日に見たくも無い髭野郎を連れてきたってのに
何だよあの態度は。
思いだすだけでムカムカしてきた。

「なんでフランスがいるんだい?」

平然と投げかけてきた言葉。
怒鳴らなかったのが奇跡だ。
お前が俺のまずいメシ食いたくないって言ったからだろと指摘すると
あいつは珍しく気まずそうな顔をした。
それは食事中もずっと引きずっていて、あいつは普段通りを装っていたけど
無理をしているとすぐにわかった。
騙し通せると思ったら大間違いだ。
アメリカのことでわからないことなんてないんだよ。
「そうかねえ」
「・・・・・・なんだよ。文句つける気か」
煽っていたグラスをテーブルに勢いよく置いて向かい側に座ってワインを飲んでいる
フランスを睨みつける。
そういや、メシを作ったら帰るって言ってたのに、いつの間にか居座りやがって。
無理やりにでも追い出してやろうかと企んでいるとふう、と意味ありげに
ため息をついたフランスが胡乱げな視線を寄越してきた。なんだよ。
「坊ちゃん、わかっているようでわかっていないからなあ」
「ああ?」
「つまりはアメリカはお前が思っているよりも愛しちゃっているってこと」
さすがに何をだよ、とは聞けなかった。
フランスが言うにはアメリカは俺が思っているよりも俺のことを愛しているらしい。
といっても、あいつ、人の作ったメシをまずいだの食いたくねえだの
平気で言うじゃねえか。
その言葉で俺がどれほど悲しい思いをしているのかわかってねえんだよ。
「けど、文句言いながらも全部食べてくれるのはアメリカだけだよね。
 お前の言いたいこともわかるけど、物事の表面ばかりに捕らわれていないで
 裏側もきちんと見な。じゃないといつかアメリカに愛想尽かされちゃうよ」
「愛想尽かされるとか言うんじゃねえよばかあ!!」
思い切り叫んで俺ははっと口を噤んだ。
さっきから好き勝手に話していたが、妙に静かなだけで後ろのテーブルには
アメリカが居るじゃねえか。
くそ。全部聞かれていたよな。
後ろを振り返るのが怖い。
妙に静かなアメリカは相当怒っているのだろう。
あいつ、怒れば怒るほど無口になっていくからな。
けど、大英帝国の威厳にかけて弟にびびっているなんて欠片でも内心でも
思ってはいけない。
覚悟を決めてくるりと振り返る。
だが、そこにいるはずのアメリカの姿はなく、空になった皿だけがぽつんと佇んでいた。
「あれ?アメリカは?」
「だいぶ前に出て行ったよ。部屋でゲームでもしているんじゃないの」
「テメェ!!気づいていたなら言えよ!!」
「うおっ苦しい、止めて、お兄さん窒息するー・・・・・・」
テーブル越しにフランスの胸倉を掴んでがくがく揺さぶるとあいつはギブアップと
言わんばかりにバンバンテーブルを叩いた。
安物じゃねーんだから叩くな。
ドスを利かせた言葉にフランスはお前が俺を締めあげなければ済む話でしょと
生意気にも反抗してきた。
もう一度締めあげてやろうかと思ったが、長い間、放っておいてしまった
アメリカが気にかかる。
あいつ、相手にされないと拗ねちまうからな。
チッ、と舌打ちをしながらもフランスを解放した俺は髭に言っておかないと
いけないことがあったことを思い出した。
「・・・・・・フランス」
「はあい。何でしょう」
すぐに復活したフランスはひらりと手を振る。
「こんな日に呼び出して悪かったな。・・・・・・その、感謝はしてる」
顔を見ると蹴りを入れたくなるが、なんだかんだ言ってもクリスマスイブに来てくれて
飯を作ってくれたことには感謝している。
そう思ったから、たまにはと素直に礼を言ってみたのだが、フランスは以前日本に
無理やり蛸の煮物を食べさせられたときみたいな表情を浮かべていた。
その表情にムカついてもう一度締めあげてやろうかと笑うと「いいから早くアメリカの
ところに行きな!」と追い払うようにフランスは叫んだ。
そうしなくても行くと答えてリビングを出る。
妙に冷えている廊下を抜けて、俺は足早にアメリカに割り当てている部屋へと向かった。
作品名:Confetti candy Love(英米) 作家名:ぽんたろう