二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

スターゲイザー/タウバーンのない世界

INDEX|14ページ/37ページ|

次のページ前のページ
 

れんあいにきょうみないんです






学園祭が間近になると、1年生全体が浮き足立った雰囲気になっていた。
夏休みという期間を経て、学校生活始まってから初めての本格的共同作業もあってか、1年生のカップル率は急激に上がっていた。しかも学園祭の後夜祭にカップルで参加すると、その人とずっと結ばれる。なんていうまことしやかな噂が流れているのも拍車をかけている。
それゆえ他の生徒にも伝染し、女子は恋愛モードに突入し各所で告白が乱発しているのだ。
告白週間となってくると、このメンバーが活躍しないわけがなかった。
本意不本意関係なく。

「ごめん、僕今、誰ともつき合う気ないから。」
スガタは全てこの台詞で突き通していた。
すでに女子の間ではそう言って断られるという情報が回っていたので、相手の少女も「やっぱりそうだよね。」と苦笑いで立ち去って行った。
それでもスガタに対する告白が後を断たないのは、告白というイベントでくらいしか、スガタと向き合って会話する機会がないからかもしれない。
少なくとも自分に告白してきた女子として、他の女子と差別化されたい気持ちもあるのだろう。
とはいえ、本日三度目の告白にスガタは正直驚いていた。
みんな青春の1ページを刻みたくて、その相手に妙に目立ってしまっている自分が適任なのだろう。とスガタは思っていた。
少女達は憧ればかりで、恋愛という感情でスガタに告白しているわけではない。と彼自身は思っているのだ。
そんなことを思考の片隅でぼんやりと思っていると、見覚えのある赤が視界にちらついた。背を丸めて力なく歩いている。

「タクト。」
「あ!スガタぁ。」
タクトの困っているような、悲しいような苦笑いを見ればスガタはすぐに分かる。
今月に入って毎日この表情を見ているのだ。
「また告白されたのか。」
「お互いさまでしょ、さっきかわいい女の子と一緒にいるとこ見たよ。」
「ああ、誰が来ても同じだけど。」
「『僕今誰ともつき合う気ない』?」
「そうだよ、今はやるべきことがもっと他にある。」
タクトは「ふーん」とか言いながらスガタを斜めに見た。
「あ、ワコ。」
二人の目の前を、ワコが横切って行った。
ぼんやりとしていて足取りも定まっていない。明らかに何か考え事をしている。
このワコも今月何度か見知っていて、二人はピンときていた。
「だからモテるよっていったじゃん。」
「わ!タッくん!」
「どう?実感湧いた?」
「スガタくん・・・・。」
「告白?」と聞くとワコは「う〜ん。」と曖昧に返事した。
「私なんかの何がいいんだろう?告白してくれる子は、あんまり話したことない人ばっかりだし。」
「そんなの僕も同じだよ!僕なんかの何がいいんだか!」
タクトが言うのでワコは勢い良く振り返る。
「タッくんは違うよ!タッくんはカッコいいもん!素敵だよ!女の子は好きになるよ!」
ワコがあまりに勢い良く言ったので、タクトとスガタは驚いて一瞬言葉を失う。
「・・・・あ、・・・・や、一般論だよ?女子の気持ちの代弁っていうか、二人は素敵だから。もともとモテてたし分かるけど、なんで私が?っていうか・・・・スガタくん何笑ってるの!もー!」
しどろもどろするワコを見て、スガタはくすくすと笑いが止まらないようだ。
スガタの腕をぱこぱこと叩いてワコが照れ隠しする。
そうした姿がどれだけ女子から羨望されているか、ワコは知らない。
「ごめんごめん。確かにワコの言う通り。タクトはカッコいいよ。それにワコはかわいいよ。二人ともモテて当然。友人としても素敵だと思う。」
そう言い捨ててスガタは珍しく優しく微笑むと、一人先を歩き出した。
ワコとタクトは頬を赤らめ一瞬放心した。
この男はなんて簡単に人の心を弄ぶんだ!
二人は同じ思いだ。そんな風に接せられたら、女の子は確実に好きになってしまうだろう。
二人は目が合わさるとタクトは両肩をあげて見せた。
三人は学園祭の準備が進む校庭を横切って、校舎へと帰って行く。
明日一日は準備に当てられ、学園祭はもうすぐだ。

「ワコも動かないとやばいんじゃない?」
ルリは雑談で騒がしい教室の中で、ワコにそう声かけた。
「やばいって何がよ。」
内心ぎくりときていた。
「何がってもちろんナニがよ!知らないの?タクトくんの告白断る理由。」
「知らない。なに?」
「『ずっと好きな人がいるんだ。』って言ってるらしい。」
「・・・・。」
ワコは心臓が締め付けられた。ルリの言った台詞は、そのままタクトがワコに言ったように感じられて、少し涙目になった。
ルリは自分の出した話題に夢中で、ワコのその変化には気付かなかったが。
「コクりなよ。」
「なんで!好きな人いるんでしょ。」
「ワコのことだよ!」
「 はああ!!!? 」
クラスが一瞬静まり、ワコを振り返った。ビックリしたあ!と誰かが呟くくらい、ワコは持ち前の発声力でその声を轟かせてしまうほど意表をつかれた。
二人を振り向くクラスメイトの中に、廊下側の席で二人並んだタクトとスガタもある。
ワコはハッと口元を抑えて、慌てて席に座り直した。
ルリに顔を近づけて声を潜める。
「私のはずないよ!」
「な〜〜んでよ!絶対ワコのことだって!」
二人が二言交わすうちに、クラスは再びざわめきを取り戻していた。
「みんな言ってるよ、ずっと好きな人だよ?絶対ワコだって。」
「・・・・・・・、多分断る口実じゃない?」
ワコは希望的に言ってみたが、タクトはそんな嘘はつかないだろうと思い直した。
「本人に確かめなきゃ誰も分からないよ。言ってみなよ、ワコだってずっと好きだったんでしょ?」
「ずっとって・・・。」
ずっと好きだった。でもそれは幼なじみとして、スガタもタクトもずっと好きだったということ。恋心に気付いたのはつい最近のことだ。
「私は無理だよ・・。」
告白なんて、関係を壊すようなこと。
何より自分はスガタの許嫁なのに。
スガタはどう思っているのだろう。
「ぼやぼやしてると、この告白ラッシュで本当にタッくんとられちゃうかもよ。」
ワコは視線だけでルリを見やる。
「だってワコって、スガタくんのものじゃん。タクトくん、ワコから言わなきゃ一生告白なんてして来ないよ。」
ルリの言葉がワコの心に突き刺さった。
なんてことない10分休憩での会話が、色あせずいつまでもワコの心に留まることになった。
そうしてその日の授業を全て終えても、ワコはいつまでもその言葉を忘れられなかった。

「おま!っっっつり!!!」
普段の登校時間よりも早く来ている生徒が多く、学園はすでにざわめいていた。
実行委員会の門係がアーチの準備をはじめ、巨大なオブジェの骨組が作られ始めている。
それに興奮してタクトは目を輝かせ言った。
「はいはい。」
スガタは軽く受け流し先を歩く。
「う〜ん!楽しいなあ!学園生活って感じ!」
「そーだな。」
「もー!スガタはほんと冷めてるよね!この校舎から溢れるリビドー伝わらない?中学の文化祭とは全然違うよ!」
「さーな、タクトのリビドーは中学の文化祭とまったく変わらないけど。」
「お祭り事は燃えるよ〜!」
「はいはい。」
校庭を歩いていると、5階の音楽室から聖歌隊の練習が聞こえた。
今日は1日学園祭準備となる。