スターゲイザー/タウバーンのない世界
幼い頃からずっと一緒に育って来た、いつか別々になることなんて分かってる。けれど。だけど。
自分の日常の中から。タクトが居なくなってしまう。
そんなことは許せない。
「ねえ、スガタ。」
タクトは胸をいっぱいにして、それでも微笑んだ。
「二人とも、僕がいなくても大丈夫だよね?」
幼いタクトは奔放で、無限の未来を持っていた。
どこにでも行けて何にでもなれる。無数の星を持っていた。
それはスガタとは違う。たった一つの道を、ひたすら生きて行かなければならない。
タクトは生涯友人でいてくれるだろう、けれどスガタと同じ道を選ぶことはない。
タクトを好きになればなるほど、幼いながらにその違いを目の当たりにすることになった。
そして傷ついたんだ。
だからその手を離した。
タクトがいなくても大丈夫なように。
いつかそうなっても大丈夫なように。
「行くのか、タクト。」
「うん。本土に行く。」
作品名:スターゲイザー/タウバーンのない世界 作家名:らむめ