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スターゲイザー/タウバーンのない世界

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ライバルなんてたくさんいるぞ






ワコとルリは校庭で昼休み中だった。
コンビニお菓子の新作を交換しあいながら、ルリお気に入りのイケメン男子の話題をする。

「いいな〜ワコ!どっちかちょーだいよ!てゆーかタッくんちょうだい!」
「タッくんって・・・。」
二人の前ではタクトとスガタを含めた男子生徒が、フットサルをしている。
「あれなになに?本命はタクトくんなわけ??自分は『タッくんタッくん』言ってる・く・せ・に!」
近くにいる同級生らしい女子がこちらを振り向く。
「別にそうゆーんじゃ!・・・子供のころからこう呼んでるし・・。」
ワコは頬を赤らめて口ごもる。

最初は1組5人だったのだが、いつの間にか他のクラスの男子が加わり8人になっている。
もう5月も終わる暖かい日差しの中、本気でボールを奪い合う男子生徒たちは、いつの間にか汗で制服が透けている。
「あーあぁ。」と呟くワコと真逆に「たまんな〜い!!」と喜ぶルリ。
かなり白熱する試合に、校庭で昼休みを過ごす生徒の多くがギャラリーと化している。
向かい側で、隣のクラスの双子の片割れが立ち上がって応援している。
タクトがゴール前に詰め寄るとワーっと歓声が上がり、ワコも興奮して立ち上がった。
「決めろーーーー!!!!ターッくーん!!!」
タクトがシュートを放った。
それは見事にスガタにコースを読まれ、大きく弧を描きクリアされた。
「っだーーーーー!!!」
「あはは!」
実に楽しそうにスガタが笑う。
「〜〜〜〜〜っ!笑ってるスガタくんヤバイっ!!!」
ルリは涙目である。
ルリだけじゃない、そのレアな笑顔に心を射抜かれた生徒達が、きゃあきゃあ言っている。
ワコはそんな中二人を眺めていた。

タクトはYシャツをまくり上げ脱ぐと、手の先にぶる下げてワコの元へやって来た。
「あーあ、汗かいちゃった。」
ワコのかたわらにたたずんで見下ろす。
汗ばんだ素肌を直視できない。
「ワコお茶ちょうだい。」
ワコはぎこちなく手に持っていたお茶を差し出す。
大きくノドをならし半分近く飲み干すと、「サンキュ。」と言ってソレをワコに軽く放る。
青春をテーマにした、スポーツ飲料のコマーシャルみたいに。
普段回し飲みなんて気にしないワコだったが、今日は視線が痛くてもうそれに口をつけることはなかった。
いつの間にか、中学時代よりずっと成長している。
大きな瞳のせいで、一年前までは中性的ですらあったはずなのに。
「カッコいいなあ。」
ワコはぽつりと呟いた。
ルリはちゃんと聞こえていたが、いつもみたいに茶化さなかった。
ワコじゃなくてもドキドキするよ、あんな風にされたら。
「タクトくんてちょっと反則。」
二人は同時にくすっと笑った。


午後の授業が終わる頃、1組を覗く他のクラスの女子が居るのにワコは気付いた。
「あれ、双子ちゃん。」
後ろのドアから身を乗り出して、律儀に教室には入らない。
「ぼくはヨウミズノ!ねぇねぇ君、なんていうの?」
明るい雰囲気で、しかし唐突にタクトに話しかける。
ぼくっ娘だあ〜とワコは妙なところに感動する。
「僕?僕はツナシタクト!ついでにこっちはシンドウスガタね。よろしくミズノちゃん。」
タクトが微笑み返すと、ミズノは目を輝かせた。
「タクトくんかあ〜。」
ミズノに付き添っている双子の片割れが、「ミズノ、名前聞くだけでしょ。もう行くよ。」と促す。
スガタはそれを見て、この空気が読めない片割れを守り続けてきたことがすぐ分かった。
自分と同じだから。
「君はなんていうの?」
ふいにタクトに声をかけられ、驚いて目を見開く。
「マリノだよ!ヨウマリノ!ぼくのお姉ちゃん!」
「マリノちゃん。そっくりだねぇ。」
「もう行くよ!ミズノってば!」
タクトに微笑まれて人見知りしたのか、慌ててミズノを引きずり立ち去って行った。

「早くもファンですか・・・。」
二人が立ち去ったあとにワコがやってくる。
「何姉妹一緒にくどいてんの。」
冷ややかにスガタ。
「へ?」
「昔からモテるもんねぇ、二人とも。」
感心するようにワコが言う。一瞬間を置いてスガタが言った。
「ワコもモテてるよ。」
「モテるよねぇ。」
まじまじと、同時に二人に見上げられる。

「モテてないってば!モ、モテたことなんてないよぉ!」
自分でも顔が熱いのが分かってますます恥ずかしくなる。
頬を覆って、「からかわないの!」と照れ隠す。
そう、誰かに好きだと言われたことなんてない。


好き。
その言葉がワコの中に留まる。

二人は、誰かを好きになるのかな?
それとももうあるのかな?
初恋っていうのが。

シクリと胸が痛んだ。
それが何故かは分からなかった。
まだタクトがワコを見上げていたので、その肩を軽く叩いた。
「あいたぁ。」とか言いながら、タクトは「あ、教科書借りるんだった!」と席を立ち廊下へかけて行った。

「ワコものんびりしてられないんじゃない?」
スガタが教科書の準備をしながら言った。
ワコがなんのことか分からず視線を送る。
「いつまでも中学生みたいにはいられないってこと。」
「え?」
「ライバルなんてたくさんいるぞ。」
その言葉にドキッとする。

それって何のこと?
それって誰のこと?
自分もまだ気付きたくないと思っている感情を、スガタにいい加減認めろと言われたような思いがした。

まだまだそんなのわからない。
ワコはまだ3人の、仲良し幼なじみでいたくて。