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裏ふぁーすとでーと?

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「「へ?」」
突然の大宮の台詞に黒崎と俺の声がハモる。
「へ? じゃなくて、練習ですよ。練習。
それからカップルなんだからもちろん下の名前呼びですよ?」
ほらほらと急かされて、互いに何故か向き合う格好になる。
「――えっと、ゆ、夕輝?」
「――夏男くん?」
「ハイカット!
二人ともまったくなってませんね!」
いきなりダメ出しをくらい、俺は渋い顔で大宮に毒づく。
「どこがダメだっつーんだよ?」
ふつーに呼び合えてだんだから十分だろーが!
大宮は額に手をやり、わかってないとばかりに首をふる。
「いいですか、二人とも。
今日二人が演じなければいけないのは誰が見ても恥ずかしくなるくらいラブラブなカップルですよ?」
「……え゛……?」
黒崎が何言ってんのこのヒトという視線を俺に送ってくる。
……スマン、黒崎。
苦悩する俺らを放って大宮の熱弁は続く。
「――そう。あたかも運命の恋人に出会い、この人以上に愛しいヒトなどこれから先巡り逢うことがない!という気持ちを込めて!!
――って二人とも座り込んでないでちゃんと実行してください!」
……座り込みたくもなるっつーの!
同じように座り込んで腕やら背中やらを掻いてる黒崎がぼそっと――
「――こんな試練が待ち受けてるなんて……!」
――ああもう、確かに試練だよ!
ってか大宮、
「オマエはどこの映画監督だよ! つかそこまで大袈裟にする必要ねーだろ!?」
俺の抗議もドコ吹く風といった感じで、
「何言ってるんです!
どこからバレるかわからないんですから、こういうことはしっかりしておかないと!!」
真摯な瞳でみつめられ、思わずたじろぐ。
ポンと肩を叩かれ振り返ると、苦悩の表情の黒崎がいた。
「――桜田。
頑張るしかないよ」
うっ。
仕方ねぇ。
黒崎の瞳が俺を捉える。
ふっ、とその瞳が優しく和み――

「――夕輝」

限り無く甘く、優しい声で名を呼ばれた。
キュン、と胸が音を立てる。
――! おいおいおい!
なんだキュンって!?
……いや、いま俺は女なんだからいいの……か……?
――と、とにかく!

「……な……夏男……くん……」

か細い声で呼ぶと、黒崎の頬が赤く染まる。
突然のパシャっという音に振り向くと、
「そう! そんな感じで! 」
見れば、デジカメ片手にグッと親指を突出す大宮。
…………………。
「テメェは何やってんだよ?」
俺の怒りを抑えた声にもまったく臆することなく、
「もちろん!
二人の愛のメモリアルを作っているんですよ!」
「……めもりある?」
訝しげな表情で俺が聞き返すと、大宮は大きく頷き、
「ええ!
いざというときにお二人がどれだけ仲がいいか、見せつけるために!」
いや、そこまでせんでも……。
黒崎もやや困惑したような表情を浮かべている。
大宮はそんな俺らに構わず、デジカメを覗き込み、

「いやー、こうしてみると見事な――倒錯カップルですね!」

輝く笑顔で言い切る大宮の頭に俺と黒崎の拳がダブルで炸裂した。

「――いった!!」

「――やっぱオマエ遊んでんだろ!」

無言で目をそらした子分に、もう一度パンチが降り注いだのは言うまでもない。

作品名:裏ふぁーすとでーと? 作家名:如月花菜