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裏ふぁーすとでーと?

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「――まあ、ともかくこれからどーすんの?」
大宮にもう一度鉄拳を食らわせると、黒崎にそう問われ、考える。
「――そうだなあ。
一応葵さんに練習試合見に来てくれ、って言われてんのが三時だからまだ時間あんだよな」
時計を覗けば十時半。まだ時間はたっぷりある。
「……大宮の案はバカバカしいけど、一応バレねーくらいにはならしたいところなんだよな」
「……まあ、そうだね。
だけど葵さん、本当に真剣に桜田のこと好きなんだね」
「な、なんだよ。いきなり?」
改めて言われると、恥ずかしいというか、困ったというか……
「んー。前に葵さんが好きな子には自分の試合見に来て欲しいっていってたからさー」
――うっ!
これからかなりの確率で傷付けることになる彼を思うと胸が痛む。
「――やっぱ桜田手術して――」
「それはイヤだっつってんだろ!!」
断固拒否だ!
「じゃあ男でもいいって葵さんがいったら――」
「それも却下だ!」
「わがままだなー、もう」
テメェ他人ごとだと思って……!
「ともかく!
俺は女の子が好きだし、手術する気もねーっつうの!」
キッパリと断言してやる。
「まあ仕方ないか。
で、どうすんの?」
「それについてはおまかせください!」
にょっと俺らの間に割って入ったのは、ダメージから立ち直ったらしい大宮だった。
ちっ! もう復活しやがったのか。
「お二人の本日のデートプランは俺がしっかりみんなと考えてきました!」
相変わらずキラキラとやたら楽しそうな笑顔で告げられ、俺と黒崎は半眼になる。
「……ちゃんとまともなものなんだろーな?」
「当たり前じゃないですか!
みんなで意見を出し合って果ては少女漫画読みふけったり、ゲームしたりで多少脱線しましたけど、完璧なプランをご用意しました!」
やたらうさん臭い笑顔を浮かべて、言い切られた瞬間、嫌な予感がしまくる。
隣りの黒崎に視線を向けると諦めたような顔で、
「ハイハイ。どーすんの?」
面倒くさそうに返す黒崎にもめげず、大宮は懐からさっと四つ折りの紙を取り出す。
広げて俺らの前に突き付ける。
「これぞ西校デートプラン!『誰が見てもドキドキ!らぶらぶカップルプラン♡』です!!!!」
………………
「……なんだその寒いネーミングは」
「えー?
わかりやすくていーじゃないですか。
ともかくこのプラン通りにやればラブラブカップルになれる――ハ・ズ!」
「ハズって、オマエな!」
確信ねーのかよ!?
「……まー他に手はないんだし、やってみるしかないんじゃない?」
すでにあきらめの境地に達している黒崎。
それをみて俺も突っ込むのをやめることにした。
本番前に疲れてもなんだしな。
「――ではお二人とも納得してくれたところで、手を繋いでください!」
あーはいはい。
あきらめて黒崎の手を握る。
……意外とちっせえし、柔らかいんだな……っていかん! 
何考えてるんだ俺は!!
衝動的に頭を掻き毟りたくなったが、不意に強く手を握り返され驚く。
横を見ると黒崎の顔が引きつっていた。
「……なんでこんなところに!?」
知り合いでもいたのか?
東校の奴らだとやべーな。
黒崎の視線を辿る。
と、そこには見知らぬ二人連れの男たち。
眼鏡をかけた男と金髪の男。
金髪が硬直している黒崎に気付く。

「――夏男!?」

――は?

作品名:裏ふぁーすとでーと? 作家名:如月花菜