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いろはた応援団長
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Black・Star

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「あんだと!?ゴルァ!もう一回いってみろや!」
そこにつくと1人の船員とスペインとの争う声が聞こえた。

「やから、言っとるやろっ!絶対にお前らの言う事なんて聞かへんって!」
「いい加減にしろよ!海に落とすぞ!」
「ええで、好きにしろや。」

スペインという男は、俺より少し背が低く小柄でよく陽にあったて健康的な顔、声、髪の色をしている。目の色は緑で俺と同じ色だった。
「コイツも前俺見たいな事してたんだろうな」と少しそこで立ち止りそのやり取りを聞いていた。
…が、
「おお、じゃあ今から落とすから立ちな!」
「望むところや!お前らのために働くくらいなら海から落っこちて死んだ方がましや!」
「おう!見上げた根性だな…!」

「おい、お前いつのまに物事を1人で決めていい立場になったんだ?あぁ?」

このままにしとくと、勝手に海に落とされそうなため俺は仕方なく声をかけた。
たまにいるんだ、「働くくらいなら死んだ方がまし」とか言うバカなやつが。
たいていそいつらは、首に鎖でもくっつけといて、首に剣でもなんでも押しつけたら言う事を聞くって事が解る。

「あ、ああ、船長すみませんでした…」
「フン…、おい。お前」
「…なんや。」
「コイツの言った事をもう一回言うが…」
「ええで、なんぼ言っても俺は絶対言う事聞かへん。」

俺が言う前に話し始めた。しゃべり終わるとそっぽを向いて目をそらした。

それに少しイラッときたので俺は胸ぐらをつかんで持ち上げた。

「じゃあ、もう一回言うぞ?…海に落とされて死ぬか、それともここで働くか。どっちだ」
「ここでは働かへん。」
「じゃあ、海に落とされて死ぬ…でいいのか?それなら上に行って飛びこめ」
「それでいい、いっとるやろ…」
「…ずいぶん肝が座ってるようだな?あ?」

そう言うとスペインは俺の方を向いてこう言った。

「お前、こんな風に暮らしてきたんか?…」

と…
それが少し胸に刺さった。

「そ…」
「…」
「それがどうしたってんだよ。お前には関係ないだろ。」
「…そうやな。俺には関係ないな。」

それを聞くと俺は袖から手をはなし、下にドンっとスペインを投げた。

「船長!?コイツ殺さないんですか!?」
「ほっとけ」
「でも船長!働かない者は殺せと言ったのはあなたじゃないですか!」
「じゃあ、お前が変わりに死ぬか?」
「!」

そう言うと俺は上へ行く階段を上り部屋へと帰った。



「ふぅ~…」

部屋に入ると椅子に座り煙草をくわえた。

「(あんな奴にあったの久しぶりだな。)」
スペインの事を思い出しながら地図にしるしをつけていく。
俺は、まさに今、海賊を続けていくか、悩んでいた。
親父は海賊だったから、楽しそうに見えて軽い気持ちで海賊になったものの、何一つ心から喜べたことはなかった。

たしかに、宝などを見つけた時は嬉しかった。嬉しかったが、「嬉しい」の種類が違う。
だから、さっきスペインに言われた言葉がちょっと突っかかった。

――『お前、こんな風に暮らしてきたんか?』――

関係ない。関係ない。そう自分に言い聞かせてきたプライドをスペインが一気に崩してくれた。
でも、アイツだって人の事言う立場じゃないだろう。
アイツだって海賊だった。俺に捕虜にさせられる前までは。

「くそっ…」

そんな事ばかり日が暮れるまで頭に回っていた。

バンバン…

日が暮れると、部屋の戸が叩かれた。
どうせまた、いつものように酒飲まないか、と聞きに来たんだろう。

「なんだ。」
「船長ー…ヒック!一緒に飲みまへんふぁ~?」

どうやらもうかなり酔っているようだ。
それもそうだ、結構前からエールビンを乾杯する音とか聞こえてきてたからな。

「いい、今日は飲まない。」
「え゛!?」
「聞こえなかったか…?今日は飲まないって言ってんだ!解ったらさっさとどっか行け!」
「は、はい!」

バンッと、でかい音をたて部屋を出た途端、またでっかい声を出しながら

「船長が酒飲まないぞー!明日は雨だぞー!」
「はははははっ!雨はいつものことだろーが!バーカ!」

余計なお世話だっつーの。

「(そういえば…アイツどうしてるかな。)」

スペインの事が気になった俺は下に降りてみることにしてみた。
でも部屋をでると…

「おおー!船長!やっぱ飲むっすよね!」
「やっぱりー、船長が酒飲まないと明日は雨…じゃなくって嵐なんすよ!」
「い、いや、違っ…」
「まぁまぁ!疲れやしたでしょー」
「はぁ…」

また、いつものように流されて結局飲んでしまうようになった。…