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キス3題

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「えー、こいつらが羨ましいとか本気で言ってるの?帝人君」
「臨也さん!」
 驚いて声のした方を見れば臨也がひとりで入ってきたところで、「はは、呼んでもないのに神様がやってきたよ。うちにはお供えはないけど」などと新羅から言われ、苦笑いとしかいえない表情を見せた。たぶん臨也としても、神様だとか崇められている場面を見られたのは予想外だったのだろう。確かに見た方としては引かざるをえない。
 当然のように隣に座った臨也に、しかし帝人はかける言葉をもたなかった。おかしなところを見てしまって複雑というのもあるが、単にどきどきしているという理由もある。臨也も語り口を探しているようではあるが無言のまま、微妙に気まずそうな表情で帝人を見てくるので、一層何を話していいかわからない。
 結局セルティの手料理をふるまわれ、感謝の言葉を残して恋人達の家を出るまで、臨也との会話はなかった。

作品名:キス3題 作家名:蜜虫