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こらぼでほすと 再会3

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 三蔵と悟空が、声を揃えて叫ぶ。トダカは、確かにナイスミドルなおじさんだが、だが、おじさんだ。親衛隊って、おばさまの集団でもあるのか? とか、思わず、三蔵が尋ねてしまって、さらに固まった。

「いや、お兄さんとおじさんと半々だ。それなりに見目のよさそうなのを、引っ張ってお邪魔するよ。」

「あんたも来るのか? 」

「そりゃ、私が行かないと、私の親衛隊だから。はははは。」

 唯一、まともだと思われていたトダカすら、やはり、何かしらおかしいところがあるらしい。人間って、見かけによらないな、とか、悟空が内心、感心していたのは、内緒だ。

 どうにか、お客様が全てお帰りになって、閉店準備となった。いつもなら、八戒がやっている売上金の計算を、アスランが事務室でやっていると、掃除の終わったシンとレイが声をかけてくる。

「終わりました、アスラン。・・・・・あれ? キラさんは? 」

「ああ、そこのコンビニまで、フルーチェのチューブパックを買いに行った。」

 刹那に食べさせてあげるんだ、と、キラは、チューブパックのフルーチェをコンビニに買いに行った。ほんの徒歩三分だから、アスランも行っておいで、と、送り出したが、「なんだってぇーーーー」 と、シンとレイは慌てて外へ走り出す。

 なぜだか、キラはナンパされる。そろそろ未成年脱出年齢となっても、見た目には華奢で可愛い系なのが、まずいのか、男女問わずにナンパされてしまうのだ。

 やはりと言うか、なんというか、コンビニでキラは、どっかのおっさんにナンパされていた。そして、当人は、そのことに気付いていないのが、ミソだ。

「本当に買ってもらっていいの? 」

「別に構わない。きみのような愛らしい人の買い物を手伝えるというなら、こちらこそ光栄だ。」

「あの、チョコもいい? 」

「ああ、好きなだけ。」

「うわぁーい。」

 ・・・・・だから、あんたさ。いい加減、いい年なんだから、気付けよ・・・・・・

 シンとレイは、見慣れた光景になりつつあるが、それでも、キラの鈍感さには、恐れ入る。それを買ってもらったら、付き合えと言われることに気付かないのだ。

「キラさんっっ。」

 レイは、慌てて、キラの腕を掴み、シンは、その買い物籠を取り上げて、ナンパしているおっさんの前に割り込む。

「あれ? シンもレイも、掃除終わったの? 」

 そして、気付かない天然電波の大明神様は、にこにこと、ふたりに笑顔を向けている。

「終わりました。キラさん、知らない人と喋らないと、俺と約束しましたよね? 」

「うん。でもね、レイ。たまたま、同じモノを手にしようとして、かち合っちゃって、それで話してたから、もう知らない人じゃないよ? グラハムさんって言うんだ。」

・・・・・お願い、キラさん。それをナンパの手口だと理解してください・・・・・

「こんばんわ、キラの友達のグラハムだ。」

・・・・いや、おまえ、友達じゃないからっっ、ただのナンパ野郎だからっっ。呼び捨てにするなあっっ・・・・

 爽やかな好青年という雰囲気の男は、おっさんではなかったが、ありありと、剣呑な空気を、シンとレイに向けている。邪魔するな、というところだろう。

「買い物なら、俺かシンに言いつけてください。」

「やだっっ、刹那のお見舞いだから、僕が選ぶ。」

「キラは心優しい。まるで、女神のようだ。」

「やだなあーグラハムさん。僕、これでも男ですよ? 」

「はははは・・・・男でも、綺麗で可愛いことに違いはないさ。きみのような人が、こんな深夜に買い物なんて危ないからね。私が護衛させていただくよ。」

・・・・・その危ないのは、おまえだぁーーっっ・・・・・・

 内心で、シンとレイが叫ぶ。さりげなく、キラとの距離を縮めようとするので、レイがキラを自分のほうへ引っ張る。

「心配してくれなくても、俺らが護衛するから、あんたは帰ってくれて結構だ。」

 そして、シンが、そう宣言して、さらに、キラを後方へ引き摺る。さらに、レイが、「新作のカフェラテがありましたよ? 」 と、キラを別の方向へ誘導する。キラのほうは、「え? ほんと? 」 と、いそいそと、そちらへ歩いて行くから、対峙するのは、ふたり対危ない男という図式になった。

「無粋だな? きみたち。」

「さっさと帰れ、ナンパ野郎。」

「キラさんに接触してもらっては困ります。」

「ふっっ、まあ、今日のところは引き下がろう。」

 つかつかと、キラが向かった方向に歩いて、ポケットから、高額紙幣を一枚取り出して、キラに差し出した。

「ん? 」

「今日は、邪魔が入った。約束通り、これで好きな物を買ってくれ。また、逢おう、キラ。」

「え、でも、これ多すぎるよ? グラハムさん。」

「次回、おつりは返して貰う。じゃあ、心優しい私の女神、再会を心待ちにしている。」

「ありがとーーー。」

 後ろ手に手を挙げて、その男グラハムはコンビニを出て行った。ちゃっかり、お金をもらって、「ラッキー」 とか喜んでいるのが、店のナンバーワン様であるのが、あまりにも心に痛い、シンとレイだった。

「キラさんっっ、これから絶対に、深夜に一人で出歩かないっっ。」

「お願いです、キラさん。お願いですから、一人でコンビニに来ないでください。」

「え? うん。」

 わかってない、絶対にわかってない。この人だけは、ほんと、危機管理能力を、どっかに捨ててきたとしか思えない。とりあえず、買い物して連れて帰ろうと、シンとレイは、キラに買い物を勧める。
 遅い、と、店に戻ったら、アスランが店の前で待っていた。あれから、コンビニにある新製品のお菓子だとか、ゲームとか、存分に見て周り、結局、あのナンパ野郎のくれたお金ギリギリまで買い物したキラは、ほくほく顔だ。

「キラ、その荷物はなんだ? 」

 もちろん、持たせたら持たせただけ遣い切るキラだから、アスランも、それほど買えるほどにはお金を渡していない。実は、と、レイが、ナンパ野郎のことを説明すると、見る見るうちに、アスランの眉が吊りあがった。

「レイ、レシートは? 」

「ここにあります。しばらくは警戒したほうが安全だと思いますよ? アスラン。」

「ていうかさ、あいつ、絶対危ないってっっ。キラさん、見る目が危なかった。」

「キラ、知らない人にお金貰って、どうするんだ? そういうの援交って言うんだぞ? 」

「だって、刹那のお見舞い買うって言ったら、それなら、私からもお見舞いしようって・・・・いいじゃない。親切なだけだよ? アスラン。だいたい、襲われたら、僕、反撃するし? 僕、最高のコーディネーターなんだから。」

 大明神様のご意見というものは、天然電波だ。この世界に、自分に害意を持った人間なんて存在しないと思ってらっしゃるらしい。

 ポンと、シンがアスランの肩を叩いて、「説明よろしく。」 と、踵を返す。逆の肩をレイがポンと叩き、「お仕置きしてくださっても、構いませんから。」 と、こっそり告げて、やっぱり、踵を返す。
作品名:こらぼでほすと 再会3 作家名:篠義