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こらぼでほすと 再会6

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「あら喜んでくださいまたのね? うふふふ。キラは、何がよろしいですか? 」

 カガリが、メールでプレゼントの画像を送ってきた。最新鋭のジムマシーンが、でんっっと写っていて、カガリが大喜びしているものだ。ラクスは、いつも、キラには物を贈らない。当日、して欲しいことを尋ねるのだ。

「ラクスと一緒に一日ゆっくり過ごしたい。」

「はい、それはもう。なんでしたら、今からでも。」

「ああ、ごめんね。今夜はダメ。」

「あら、へたれが? 」

 歌姫様、それダイレクトすぎです、と、みなで内心でツッこむが、誰も口にはしない。誰もが自分の命は惜しい。

「一番最初は、アスランなんだ。ごめんね? ラクス。その代わり、明日はラクスが一番ね? 」

 あーあれ、そういう意味じゃないからさ、と、ハイネが、マイスター組に説明している。「おめでとう」を言う順番のことだ。見た目には、恋人たちの再会に見えるが、キラにとって、ラクスは大切な友達でしかない。

「キラのお願いでは仕方ありません。では、それまでは一緒に過ごしてくださいな? 」

「うん、ああ、刹那とロックオンさんは知ってるよね?  アレルヤとティエリアは握手する? 」

 ようやく周囲が動ける状況になってきたか、と、デイアッカが、アレルヤとティエリアを促して、歌姫の前へ誘導する。

「キラと仲良くしてやってくださいませね? ティエリア、アレルヤ。」

 何度か、エターナルでは顔を合わせていたが、キラ成分を補給した歌姫は、さらに後光が強くなっていたので、ふたりしてびっくりした。絶対に逆らえないようなオーラがある。

「もちろんですよ、ラクス様。」

 答えるつもりのないティエリアの代わりも兼ねてアレルヤが返事する。

「組織が再開するまでは、みなさん、『吉祥富貴』で働いてくださいませね? 」

「え? 全員? 」

「ええ、全員です。CBのほうが再開したら、そちらへお戻りになれますわ。それまでに、ロックオンとアレルヤの治療方法を探しますから、安心してください。」

 ロックオンは自分だけだと思っていたから、声に出てしまった。ついでに、アレルヤのほうも、だ。

 つまりは、そのまま、一緒にいられて、さらに、CBにも戻れるということに、他ならない。それなら、刹那のことも心配せずに済みそうだと、ロックオンは、傍に居る黒子猫の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。








 夕刻に、歌姫御一行様がやってきて、もういきなりプレイベントで大盛り上がりになった。珍しく同行してきたニコルが、アスランにべったりしていたが、キラのほうは、刹那と一緒に、あっちこっち飛び回っていたから、完全にスルーされていた。

・・・・ちょっとぐらい妬いてくれたら、いいのに・・・・・

 ニコルの相手をしつつ、キラの姿を視線で追い駆けていたアスランは、内心で愚痴っていた。

・・・・まあ、言い換えれば、それだけ愛されているんだろうけどね・・・・・

 嫉妬する必要がないほどに、キラが自分のことを深く想ってくれているからだと思えば、それはそれで嬉しい。明日が本番だから、と、一応、早めにお開きになったものの、大人組は、それから飲み会になったようだった。

「アスランも飲みましょうよ? 」

 と、ニコルに誘われたものの、それは丁重に断った。今日は、大切な用事が残っている。


 いつもなら、さっさと寝ているはずのキラも、アスランが帰ってくるまで起きていた。何かしら、また、パソコンでやっていたらしいが、それについては聞きたくない。たぶん、姉の誕生日イベントが、何事もなく終わるように、騒ぎそうなヤツらを黙らせていたに違いないからだ。その方法が、どういうものか、敢えて聞きたい人間はいないだろう。

「おかえり、アスラン。」

「ごめん、遅くなった。」

 アスランが手にしているものに、キラは目を細める。大きな花束は、南国の綺麗な花で溢れている大きなものだ。それから、手にしている別の物は、色違いの機械鳥が一匹。

「もうできたの? 」

「急ぎで、って、おまえが言ってたからな。」

 刹那にも、トリィがあったら、いいな? と、キラが、おねだりしたので、マイクロユニットで、同じモノを作った。色は、緑ではなくて、青。それは、子猫の親猫の瞳の色だ。

 ことりと、その機械鳥は、机に置いて、花束をキラに差し出す。まだ、残り十分ある。

「毎度、同じモノですまない。俺は、こういうのが苦手だ。」

「アスランが選んでくれるっていうのが、ポイントだから、同じモノでいい。」

 ゆっくりと、キラも花束を手にして、それから、その花束をぎゅっと抱き締めた。アスランは、不器用なので、贈り物と言ったら、花かマイクロユニットの動物しか思いつかない。だから、ラクスは、たくさんのハロを持っているのだ。

 婚約していた時にイベントごとに渡されていたから。

キラは、トリィを一匹して持っていない。

それは、もういらない、と、断ったから。

 ひとつだけど、それは、ずっと、キラと一緒に、アスランがいない時間を過ごしてくれた。大切なアスランの身代わりだった。身代わりになるものを、たくさん貰うなんて、イヤだったからだ。

 だから、キラには大きな花束だけを、アスランは用意する。ちゃんと、自分で考えて、たくさんの花の中から選んでくれる。キラのためだけに、アスランがやる作業だ。

 他の人間にも、花束を贈るが、それは、業者に予算と目的を告げて作らせるから、まったく別物だ。

「これ、ペリカンみたい。」

「うん、ストレチアって言うんだ。今年は、賑やかな感じにした。」

「こっちのは、見たことがあるね。」

「蘭は、似ているものが多いからね。でも、カトレア・・・・その紫のは、なかなかないんだよ。キラの瞳の色と同じ紫っていうのが、なくって探した。」

 ひとつずつ説明して、ひとつずつ感想を告げて、ゆっくりと時間が過ぎていく。この時間だけは、誰にも邪魔されたくないと、ふたりして思っている。

 いつもいつも一緒にいるけど、やはり、大切な人が生まれた日は特別で、最初に、それを祝うのは、自分だと決めていて、だから、この日だけは、みな、邪魔しない。

 ゆっくり、十分は過ぎて、時計が十二時を指し示す。

「おめでとう、キラ。生まれてきてくれたことに感謝する。」

「ありがとう、アスラン。これで、また、しばらくは、僕がおにいさんだね。」

 いろんなことがあって、一時は憎むこともあったけど、やっぱり、それは長く続かなくて、こうしていることを、ふたりともが選んだ。

「これからも、俺といてくれる? 」

「いてくれないと困るよ? 我侭で電波で天然の僕にしちゃったのは、アスランなんだから、これからも面倒みてくれないと、怒るよ?」

「いや、我侭にした自覚はあるけど、残りふたつは、おまえの本来からの性格だと思うけどな。」

「ひどいなあー。」

 クスクスと笑って、キラが近寄ってくる。花束を、ベッドへ放り投げてしまうと、アスランに抱きついた。もちろん、キラのダーリンも両手を広げて受け入れる。

「なんか、毎年、結婚式の誓いをしているみたいだ。」
作品名:こらぼでほすと 再会6 作家名:篠義