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最初はグー

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 栄口が怒っている。このヒトはいつも静かに怒り、誰にも打ち明けることなく自分の中で自己解決してしまう。らしいな、と思うけどそれじゃ俺はおもしろくない。
 隣にいるようになってからそういう微妙な栄口の変化に気づけるようになれたのが嬉しい。でも栄口を怒らせている原因のほぼ9割はは俺。
 休み時間にジュースをもらったときは普通だったのに、今は横で無表情を決め込みゲームをしている。理由を探してみるけれど今回ばかりはさっぱり思い当たらない。
「さ、さかえぐちー?」
 反応を返さない。う、これは大変お怒りのご様子で……。
 テレビに『YOU LOSE』の文字が映し出され、栄口の操作していたキャラクターが地面に倒れる。たじろぐ俺を気に留めることなく、栄口はコントローラーを手に持ったまま、もう一度挑戦するつもりもないらしくただ画面を見つめている。
 とうとうその空気に耐えられなくなった俺が飲み物でも取りに行こうかと立ち上がった瞬間、腕が引かれ乱暴に横へ座らされた。
「しよ?」
 冷静な顔のまま出された提案に思わず身体の芯が熱くなり、こういうのもたまにはいいかもなんて思ってしまう自分は淫乱だ。でも、これは勘でしかないけれど、栄口が怒ってるのはムラムラしているからじゃないんだよね。
 いつものとりきめ、いつもの動作。いつものように拳を固く握って出せば、俺が負けて丸く収まる。

「「じゃーんけーん」」
作品名:最初はグー 作家名:さはら