二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

B.PIRATES その1

INDEX|2ページ/10ページ|

次のページ前のページ
 

 船上に穏やかではない雰囲気が漂ったそのとき、奥からのんびりとした声が聞こえた。
「おいおい、何の騒ぎだい?」
そう言いながら、船内からゆっくり出てきた大男の声に、船上の海賊は一斉に振り返り、その姿を確認して、全員がほっと安心したような表情を見せた。
次の瞬間、大男の喉元に、剣先が突きつけられた。
「…貴様が浮竹十四郎か。」
いつ動いたのか、いつ剣を抜いたのか。その侵入者の動きの、あまりの早さに海賊たちは、一瞬言葉を発することも忘れた。
剣を突きつけられた男は、動じる様子もなく、のんびりと問う。
「…そういうあんたは、どちらさん?」
「総督姫君を誘拐したのは貴様等か?」
「ちょっとちょっと。少しは礼儀をわきまえなさいよ。 人の船に勝手に乗り込んで、剣突きつけて、その態度はないんじゃない?」
「…海賊風情が、礼儀を重んじるとは初耳だ。質問に答えぬと、喉に風穴が空くぞ。」
その時、そこにいた誰もが動けない、緊迫した空気を吹き流すように、侵入者の背後に、風が走った。
「はい。そこまで。」
「…!!」
侵入者の腕は、背後に立った男に押さえられ、喉元には短剣がぴたりと突きつけられていた。
一瞬の、瞬きもできない間に、形勢は逆転されていた。
 侵入者を捕らえた男は、ふう・と小さなため息を吐いて、穏やかな口調で言った。
「…やれやれ、物騒だな。 それくらいにしといて頂けるかな。 …海軍総司令部の、朽木白哉隊長?」
名前を呼ばれた侵入者は、首を少し傾け、自分を捕らえている男を見た。
「……貴様が…。」
「初めまして。俺が船長の、浮竹十四郎だ。」
そう言って微笑む、流れる銀髪を持った精悍な男に、先ほどまで白哉に剣を突きつけられていた男が、ウンザリした顔で、言葉を発した。
「…いいとこで登場するよね~。僕が格好悪いじゃないか。浮竹船長。」
「お前は遊びすぎだ。ハラハラして見てるこちらの身になれ、京楽副船長。」

そんな二人のやりとりを、完全に抵抗を止めた朽木白哉は、品定めをするかのように見ていた。


「まずは、先程の非礼を詫びよう。浮竹船長。京楽副船長。」

船上で捕らえられた朽木白哉隊長は、そのまま殺されるかと思いきや、船内に連れ込まれ、意外にも、船長室で会談の席を設けられる運びとなった。白哉は緊縛されることもなく、船長室のデスクに座った浮竹と隣に立つ京楽の正面に、座り心地の良い椅子を用意された。客を迎えるような対等の待遇に、白哉は丁寧に二人に謝罪の意を見せた。
「いや。構わんよ。 それより、知略と武功で広く名の知れた朽木隊長ともあろう方が、無謀にも単身で我が船に乗り込んできた、その訳を知りたいね。必要以上の無礼さにも、演技めいた物を感じたんだが… 俺の気のせいかな?」
浮竹は、先程と変わらぬ穏やかな表情で尋ねた。白哉は、目線を僅かに揺らして少し考えるような仕草をしてから、答えた。
「…そうだな。私がここへ単身乗り込んだ理由から説明しよう。 海軍総督の姫君が海賊にさらわれた事件のことは知っているか? そして、その嫌疑が、浮竹海賊団に掛かっていることも。」
「ああ。知ってるよ。だが、さらったのは俺たちじゃないぞ。」
「わかっている。卿らの仕業でないことは、軍の内部では調査済みだ。 ただ、犯人が姫君を連れ出す際、浮竹の一味だという証拠を、見ろと言わんばかりに残して行っているため、表向きには卿らへの嫌疑は外せない。 これは了承して戴きたい。」
「犯人、解ってんでしょ? 市丸海賊団だって。」
業を煮やしたのか、浮竹の隣に立っていた京楽が割り込んで発言をした。それに対して白哉が「ああ」と、頷いた。
「じゃあ、何でアンタ程の軍人が、市丸討伐の指揮にあたらず、こんな的外れな処に来てるんだい? まさか、僕らの協力を仰ぎたいってんじゃないよね?」
「おい京楽…」
白哉をからかいたくて仕方ないのか、半ば楽しそうに話しかける京楽を、浮竹がたしなめるように遮った。だが、白哉はそんな京楽の発言をまったく気にしていないという様子で、一言答えた。
「その通りだ。」
「はあ?!」
白哉の返答に、二人の海賊の驚きの声がハモった。
「京楽副船長の言うとおり、此度の犯人は市丸に間違いない。そして、市丸は、今やこの海の三分の一を征するかというほどに、強大な力を誇っている。認めたくはないが、今の海軍には、市丸を制圧する力はない。」
「…だからって…海軍が海賊に協力を仰ぐなんて、マジで前代未聞だよ…」
そう発言したのは京楽だったが、浮竹も同じ事を言いたそうな顔をしている。
「それが狙いだ。卿らにしても、海軍がそんな策に出るとは、冗談だとしか思っていない。市丸も同様であろう。 そうして奴は油断し、こちらは、奴の背後を突くことができる。」
浮竹と京楽は、ぽかんとしながら、お互いに顔を見合わせた。
…どうやら朽木は…本気らしい。
しばらく考え込んでいた浮竹は、やがてゆっくりと口を開いた。
「…成る程ね。奇抜だが、いい策だ。隠密裏に事を運べば、一気に市丸を殲滅できる。」
「おいおいおい浮竹。話に乗る気かい? 海軍の傘下に加わったとなっちゃあ、天下に名高い浮竹パイレーツの名折れだよ?」
「傘下に入れとは申しておらぬ。対等な立場で、正式に協力を要請しているのだ。」
白哉の発言に、浮竹がふむ、とため息を漏らし、椅子に深く座り直して問い尋ねた。
「…対等の立場ねぇ…。それは少々納得いかないな。 海軍側は、姫君救出と、市丸パイレーツ殲滅が目的だろう? 君たちに協力して、何か、俺たちのメリットはあるのかな?」
「古くから大海賊として海を支配してきた卿らが、新参にして頭角を表してきた市丸海賊団を敵視しているのは知っている。市丸のその残忍な略奪破壊のやり方を、快く思っていない事も。 加えて、件の姫君誘拐の罪を浮竹海賊団に擦り付けるという行動。 これは明らかに、浮竹海賊団にあてた、侮辱、もしくは挑戦であろう? それをそのまま見過ごすのは、海賊の沽券に関わるのではないか?」
「…まあね。 あの若造のとった行動に対しては、黙って済ますつもりはないが。だがそれはウチの事情だ。こちらとしては、そのために元来敵である海軍と馴れ合う気は全くない。」
「卿らが独自で市丸に報復するにしても、そちらの戦力をもってした所で、殲滅には及べまい。せいぜい、子供にお仕置きをする程度の打撃しか与えられぬと見るが?」
「報復としては、それで充分でね。」
お互い、一歩も譲らぬ舌戦だった。
さあ、どうすると言いたげに流し目を白哉に向ける浮竹に、動じず白哉が口を開く。
「…二十億ゾル。」
「ちょっと、何々。その無茶苦茶な金額は?」
国の国費にあたるかと思われる金の額を呟いた白哉に、反応したのは京楽だった。
「今までの長きに渡り、市丸に略奪された金品の総額だ。
奴らの金の使い用は激しいとはいえ、まだかなりの額を保有しているはずだ。市丸パイレーツ殲滅が叶った暁には、その金をそっくりそのまま、報償として、卿らに差し上げよう。どうかな?悪い話ではあるまい。」
「………。」
浮竹と京楽は、黙って顔を見合わせた。
作品名:B.PIRATES その1 作家名:おだぎり