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こらぼでほすと HGP

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「後ね、お餅食べるって。」

 事件の発端というのは、ディアッカの不用意な発言だったりする。だいたい、今の時代に、そんなことを言うヤツは、そういう研究をしていたものだけだ。それを聞いてしまったキラは、それを質問したにすぎないわけで、ただ、その質問が略されていたから問題だった。いや、略されていなくても、アイルランド出身の生粋の西洋人のロックオンには、何のことやらだったに違いない。で、また、キラらぶらぶな歌姫様に、その話をしてしまった段階で、さらに、状況は悪化した。

「わかりました。ディアッカに、その資料を借りて、少し、私のスタッフと相談させていただきますわ。」

「うん、僕も手伝うからね。」

「ええ、もちろんですわ。」

 誰か事情がわかっている人間が一人でもいたら、即座に止めただろうが、残念ながら、今回は、誰もいなかった。いつも、べたりしているはずのアスランが、たまたま、私用でプラントへ出向いていたのが問題だった。キラとキラの子猫の写真を所望した議長様は、歌姫様に、それはそれは過酷な制裁を食らいそうになった。

「私くしの大切な大切なキラの生写真を、勝手に撮りましたね? 」

「キラ君から許可は貰っている。」

「私くしの大切な大切なキラは、万人に愛されているのです。独り占めは許されることではありません。お覚悟あっての、ことですわね? デュランダル議長? 」

 自己中とか専制君主とか言われているデュランダル議長様だが、唯一、畏れているのは、歌姫様だ。何をされるか予想がつかない。

 前回、キラにちょっかいを出した時は、クール宅急便で、10トンばかり生魚、生蛸、生イカ、生ホヤ、生なまこ、生リュウグウノツカイ、生オニヒトデなどが送りつけられた。これらを処分するのに手間取り、腐敗臭を漂わせる結果になった。

 その前は、あからさまに議長宅のみ停電して、そこに保存されていたデータ全てを破壊された。復旧は、かなりの人員を要した。

 その前の前は、議長のIDと暗証番号が、全て書き換えられていて、決済できない状態に陥った。

 とにかく、どういう報復か予測がつかないし、防御もできない。それでも、自己中な議長様は、めげないから強いとも言える。

「どんな報復措置を受けようと、返すつもりはありませんよ、ラクス・クライン。」

「返す? ほほほほほ・・・・返す必要はありません。その代価を頂きたいだけです。」

「どのような? 」

「エターナル専用ドックを、プラントに用意してくださいませ。それで、今回は不問に付してさしあげましょう。」

 元々、エターナルはプラントの戦艦だが、歌姫様が強奪した後に、所属は、歌姫個人に移籍されているので、プラントに専用のドックはない。

「その程度でよろしいのですか? 」

「ええ、今回は、その程度で。」

 もちろん、これには裏がある。そのドックについての取り決めやら契約については、アスランがやることにしたのだ。

「くくくく・・・なるほど、それで、あなたが独占ですか? 」

「とんでもありません。キラが寝不足にならない程度で、アスランの仕事が終わるように尽力してくださいませ。」

「わかりました。ドックのほうは、こちらで手筈を整えておきます。」

 キラの生写真の代価というのが、それほど高価だという評価は、おそらく、歌姫様と議長様だけではないかと思われるが、当人たちが気付いてないので、それで納まっている。かくして、アスランは、プラントでの交渉に借り出されて留守をしているのだ。





 やっぱり、おでこにたんこぶができていた刹那に、やれやれと氷とタオルを用意していたロックオンは、それを、すぐさま、アレルヤに取り上げられた。

「おっおい? 」

「ご無礼。でも、ロックオンは三十分横になる時間だからね。これは、僕がやる。」

 あ、と、思っていたら、ぺチンと、自分の右腕に痛みが走った。顔を、そこに向けたら、ティエリアが腫れている右腕に湿布を貼り付けている。

「痛いんだけど? ティエリア。」

「自分の死角を自覚しないで行動するから、こうなるんだ。」

 そう言われてしまうと、ロックオンも言い返せない。アレルヤのほうは、用心深く動いていて、あまり失敗しないので、それと比べられると粗忽さが浮き出てくる。現在、アレルヤも右目が見えていないのだが、ロックオンと違って、慎重な行動をしている。

「そうだけどな。うっかりするんだよ。」

「うっかりじゃない。兎に角、横になる。」

「そこまでしなくてもいいって。俺のほうは、適当にしてるから。」

「適当にしてもらっては困るから、僕が管理するんだ。」

 まったく、言うことを聞かない、と、ティエリアが腕を取って、寝室へ連行する。もちろん、右側の腕を取っている。

 それを見送って、アレルヤは苦笑する。他人に無関心だったばすのティエリアだが、マイスターたちに対しては心配する気持ちが膨らんだということがわかるからだ。

「僕、ティエリアが、毎日毎日、ロックオンを叱ってるのを聞くのは楽しいよ。」

「俺も、だ。」

 刹那も、それには簡単に同意した。叱っているけど、それは、以前とは、まったく違う理由だと刹那だって気付いている。ティエリアが人間らしくなってきたのは、たぶん、自分とロックオンの人間らしい向き合い方を目にしてからだ。

「ロックオンに集中しちゃってるのが、ちょっと寂しいかな。」

「そうでもない。」

 それには刹那は同意しなかった。ちゃんとティエリアは、刹那にもアレルヤにも目を向けている。寝室から出てきたティエリアは、また湿布を用意すると、刹那の額にぺチンと貼り付けた。それから、アレルヤに向って、「さっきの続きを見るぞ。刹那も、付き合え。」 と、言い放つとテレビの前に座り込む。

「ティエリア、お茶はいらない? 」

「飲む。」

「刹那は? 」

「いらない。」

 アレルヤの質問に、別々の答えが返ってくるが、アレルヤは三つの茶器を用意してアイスティーを入れる。午後の情報番組なんてものを三人で、のんびりと眺めつつ、くだらない感想なんかを言い合えるだけでも、ティエリアが人間らしくなったことは伺える。


 オーナー直々のお呼び出しに、トダカは何事だろうと、首を傾げた。吉祥富貴の経営に関して、文句を言われることはない。兎にも角にも赤字にしてくれ、と、オーナー側から指示が出ているような道楽のための店だ。

 息子のことかとも思ったが、ここんところ、別に騒ぎらしい騒ぎは起こしていないはずた゛。それは、自分の親衛隊からも確認している。

 となると、自分の呼び出しの理由が思いつかない。

呼び出されたのは、本宅ではなくて、コンサート会場の控え室だ。

「時間がなくてすいません、トダカさん。」

 メイクとセットの最中のオーナーは、鏡越しにトダカに視線を向けて挨拶する。

「いえ、火急の用件とのことですが? 」

 トダカのほうも社交辞令を言うのも時間が惜しいから、単刀直入に切り出した。

「トダカさんのオフの時間を少々貰い受けたいのです。よろしいでしょうか? 」

「本日でなければ、構いません。」
作品名:こらぼでほすと HGP 作家名:篠義