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こらぼでほすと HGP

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 本日は、とても大切な用件があって、夕方には家に戻っていたいのだ。それ以外なら、今のところ、オーナー命令より優先する用件はない。

「うふふふふ・・・・本日ではございません。明日の午後一番に、別荘へお越しくださいな。」

「わかりました。」

 で、セットが終わったオーナーは衣装を合わせるために、その場から奥へと移動してしまった。肝心の用件を聞き逃したものの、別荘へ来いというなら、マイスター組のことかな? とは、ちらりと頭を掠めた。

 用件が終わったトダカは、いそいそと家路を辿る。本日はシンが手料理を、ごちそうしてくれるらしい。三時には家に来ると言っていたので、少し慌てている。

「トダカさん、こちらです。」

 もちろん、トダカは独りではない。ちゃんと、トダカーズらぶのメンバーが付き添っていて、本日の大切な用件のために、車の手配なんかもやっていたりする。

「これは・・・」

 そこにあるのは、軍用車というヤツで、速度ぶっちぎろうと赤信号を無視しようと警察ですら止められない特殊車両だ。

「カガリ姫が、使うように、と。」

「大袈裟だな。まだ、時間はあるのに・・・」

「いえ、余裕は必要です。」

 アマギがしゃっちょこばって、そう言うので、トダカは、嬉しそうに笑って礼を言う。もう、それだけで、有頂天になっしまうトダカ親衛隊の面々だ。本日は、父の日。シンが、養父のトダカのために手料理を披露するのだ。もちろん、トダカーズラブは、その場に居座ることはできないが、あっちこっちに撮影器材を配置していて、後日、それを編集して上映会を行うことになっている。





 ディアッカは、別に冗談を言っただけだ。それが、真に受けたのが、電波天然様だったわけで、いつもなら、そのダーリンが止めてくれるのに、そいつが不在だと知って、ちょっと慌てた。

「ラクス様、ひとつ言っておきますが、あれは、その時代、時代における世情というのを反映していてですね。あのまま、やるなんてことはないもんなんです。」

「もちろん、承知しておりますわ、ディアッカ。まさか、お歯黒をやろうとは言いません。裳着だって、衣装が大変ですからね。」

「じゃあ、何を? 」

「キラが、お餅を食べられると喜んでおりますし、ロックオンさんも、そのほうがはっきりしてよろしいかと思いましたの。」

「まだ、そうと決まったわけじゃないんでしょ? 」

「キラが確認してまいりました。」

 いや、だから、キラなんて質問させるのが間違いなのだ。たぶん、ロックオンが、何も答えていなくても、是と受け取るような天然なのだ。ついでに、餅は、それとは違う。あれは、別件のお祝いだ。

「えーっと、それは・・・・・」

「ほほほほ・・・・私くし、ただいま、キラを預かっております。それが、三日以上続いておりますのよ? 」

「ですが、百夜通い以上のバカが、キラにはいるんですが? 」

 百夜どころか、365日離れないだろうぐらいの溺愛っぷりを見せつけているバカップルだと言うのに、三日を越えただけで、それを主張するか、と、ディアッカは呆れるが、それを強く指摘できない。誰だって、わが身が一番可愛い。

「ですが、ディアッカ。あれは、男女のことでしてよ? 」

「それ、今更言うかなあー」

「月曜日、別荘でやりますから、トダカさんに仮親の役をお願いしました。よければ、参考になさってはいかがですか。」

「はいはい、お伺いいたします。」

 実際、目にすることはない行事だから、ディアッカだって興味はある。それに、今時、そのフル装備を目にすることも滅多にはできないからだ。役どころが、どうなっているのか、微妙だが、まあ、絢爛豪華なものは拝めるだろう。





 さらに、こちら、同様に極東出身だが、微妙に地域が違うため、状況がよくわからないところにも連絡が入った。

「モギ?  それは、どういう・・・・え?・・・はあ・・・・いえ、オーナー、僕たちの地域では、そうではありません。・・・はい・・・僕らのほうでは・・・・髪を結い上げて・・・お酒を飲むだったはずですよ? ・・・・はい、・・・はい・・・・まあ、似たようなものでしょうね・・・」

 なんの話だよ? と、悟浄は横になっていたソファから起き上がる。何かの儀式の話らしいのだが、悟浄は、そういうものには、とんと無知だ。相方が、スラスラとメモを取ってから携帯を切ったのを目にして、「何事だ? 」 と、ようやく問いかけた。

「うーん、詳しくはわかりませんが、キラくんの出身地域の儀式をやるので、手伝いに来て欲しいってことなんですが・・・・・明日です。」

「明日? 仕事は? 」

「いえ、午後早くに終わるので、仕事には差し支えはないんですよ。悟浄は、どうします? 」

 それは、もはや、問いかけではない。オーナーが、何かしらおっぱじめるとなれば、ストッパー兼調整役として、自分の女房かキラの旦那が呼び出しを食らうのは必定で、その相方である自分がフォローしなければならないのは、決定事項である。

「お願いして、ちゅーしてくれたら行く。」

「どこの甘えっこなんでしょうね? この人は・・・・悟浄、付き合ってくださいね? 」

 やらなくても行ってくれるだろうが、気持ち良く出向いて貰うには、それなりのご褒美は必要だろう、と、八戒が、そう告げて、ちゅっと頬にキスをする。

「最後の詰めが、どうも甘い。」

「それ以上は、今夜、サービスさせていただきます。」

「おや? さすが、八戒さん。俺の心まで読んでくれちゃうわけですか? 」

「あなたの心というか行動パターンくらい把握してますよ。」

 とりあえず、洗濯物と掃除だけはさせてください、と、八戒は立ち上がって洗面所へ消えた。それじゃあ、手早く済ましてサービスしていただきましょう、と、悟浄も、その後を追いかける。



 当番制で朝食の用意をすることにしたのだが、おそろしく不器用なティエリアには、アレルヤが、食べられればなんでもいいという刹那のフォローにはロックオンがついているので、どっちにしろ、四人でやっているようなものだ。

「うわぁー、いきなり、牛乳を全部入れてどーすんだよっっ。刹那。」

「ねぇ、ロックオン、それ、ポテトサラダには無理そうだから、じゃがいもスープにする? ・・・あ、ティエリアっっ、猫の手っっ、猫の手だってばっっ。」

 フォローしているほうは、きゃーきゃーと大騒ぎする事態になっているが、フォローされているほうは、「うるさいっっ。」とか「気が散る」 とか、容赦なく切り捨てていたりする。

 こんな調子で、一時間近くかかって朝食は準備される。別荘の人間に頼んだら、ものの十分でできそうなメニューでも、慣れないのばかりだと、このぐらいかかる。

 本日のメニューは、じゃがいものスープ、野菜サラダ、ベーコンエッグ、季節の果物、パンという、別段、大したことのないものだが、それでも、これだ。というのも、包丁を握ったことがないのが、若干二名ほどいる。

「おまえ、ナイフは扱えるのに、包丁は、からっきしだよな? 刹那。」
作品名:こらぼでほすと HGP 作家名:篠義