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こらぼでほすと HGP

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「キラがしてるだろうけど、あいつのは宇宙語だからわかんねぇーと思う。」

「ティエリアは? 」

「年が十代だろうから、ついでの巻き添え? 」

「いや、巻き添えって・・・・ティエリアも結婚させられちゃうってこと? 」

「ごめん、そこまではわかんねぇーけど、とりあえず、現場へ行かないか? 阻止するなら、その場で止めたほうがいいだろ? 」

 確かに、そうだ、と、アレルヤは行こう、と、ロックオンを見たが、相手はじろりと睨んだだけだ。

「ロックオン? 」

「俺は行かねぇーぞ。勝手にしやがれ。」

 ふんっっと、出窓から外へと飛び出してしまった。かなりショックを受けたらしい。さすが常識派、と、ディアッカは感心する。誰だって、こんなバカ騒ぎに付き合う気にはならないだろう。ましてや、自分のやっていることを、そんなふうに評価されていると知ったら余計に腹立たしいのもわかる。

「アレルヤ、ロックオンはいい。とりあえず、行こう。・・・・ロックオンがいなければ、嫁ぐ相手が行方不明で式はできないはずだからな。」

「確かに、そうですね。」

 あの状態で出向いたら、確実に、ラクスとキラに食って掛かる。助けてくれた相手ではあるので、あまり無茶なことになって関係が悪化しても困る。成人式はいいとしよう。問題は結婚式のほうだ。





「裳着」 というのは、日本という国の平安時代の女子の成人式を現す儀式だ。それまでは、簡単な着物を着ているだけだが、結婚適齢期と判断されると、それより以降は、裳と呼ばれる袴をつけることになる。髪型も、子供ではなく大人としてのものに変えられるし、化粧も、それより施されることになる。

「はい、これを着てね。」

 キラが連れて行った部屋には゛一面に畳が敷かれていて、なんだか煌びやかな衣装が用意されていた。俗に言う十二単だ。それは、ふたつ用意されていて、後からやってきたティエリアも絶句する。

「まず、碁盤の上に立ってください。」

 専門の着付け係たちが、ティエリアと刹那を誘導する。なんだか、よくわからないが、オーナーとキラが命じているので逃げるわけにもいかない。

 着ているものを脱がされると、白い襦袢から着付けが始まる。それから、紅い裳をつけられて、そこにトダカが現れる。着付けをしている人間が、トダカに、腰帯の締め方を教える。徳の高い人間が成人した証である裳の腰帯を締めることで、成人したと証明される。そのために、一番年上のトダカが依頼されたのだ。

「これ、トイレはどうするの? 」

 素朴な疑問を口にしているキラは、直衣に直垂という比較的軽い正装をしている。刹那とティエリアの着付けの最中に、こちらも着替えた。

「一々脱ぐのは大変でしょうね。」

 ラクスは、十二単ではあるが、こちらは軽量版だ。動けなくては、姫君を誘導することもままならない。

「キラ、そーいうのは、後で、こっそりディアッカに聞け。」

 で、なぜか、キラと似たような格好をさせられている悟浄は、となりの女房に目を奪われたままだ。

「どーして、僕なんですか? アイシャさんでも、ヒルダさんでも、いらっしゃるじゃないですか? オーナーっっ。」

 こちら、十二単を着せられた八戒は、かなりお冠だ。はっきり言って、これは女装だ、そりゃ怒るだろう。

「夫婦仲の良い方に後見してもらうほうがよいのですよ? 八戒さん。」

 ほほほほ・・・・と、ラクスは笑っているだけで、軽くスルーの方向だ。着付けが終わると、今度は後見というか、両親の仕事が待っている。本来は、童女の髪型から、女性の髪形にするために、髪の毛を切るのだが、刹那もティエリアも髪が短いから、その通りに、ざっくり切るわけにはいかない。端っこのほうを、ふたりして、ちょこっとずつ髪に鋏を入れるだけにした。

 それらが終わると、両親役のラクスとキラが手助けして、刹那を碁盤の上から下ろした。ティエリアは、悟浄と八戒によって下ろされる。

「これで、刹那は成人したんだよ? 」

「成人? 」

「そう、大人になる儀式なんだ。それで、これから、結婚式もやるからね。」

「けっこんしき? 」

「うん、だって、刹那は、ロックオンさんが、自分の好みに育てたお姫様なんだろ? 」

 おーい、ちょっと待てぃ、と、悟浄が止める頃に、ようやく、ディアッカとアレルヤが部屋に入ってきた。

「予想外に似合うな。」

「これがモギ? うわぁーすごい綺麗だねぇー、ティエリア、刹那。」

「そこっっ、素直な感想はいいからっっ。キラの言動をツッコメっっ。」

 悟浄と八戒は、ディアッカからあらかじめ説明を受けていた。とりあえず、成人の儀は黙っていよう、それ以降は阻止の方向で、と、打ち合わせしていたので止めるために動き出す。キラが余計なことを言わないうちに、事を収めるつもりだった。

 しかし、敵も然る者ということ。きっちりと、ヒルダとヘルベルトとマーズが、八戒たちの前に出てきた。

「きつい面子だな? ヒルダおねーさま、慈悲とかは? 」

 悟浄としては、できれば、このメンバーと戦いたくはない。なんせ、戦争屋をやってる現役軍人様たちだ。

「生憎だが、今回はないね。ラクス様をお守りするのが、あたしらの仕事だ。行くよっっ、ヘルベルト、マーズ。」

 こちらは、戦闘服に身を包んでいるわけで、十二単や直垂なんて風雅で動きにくい格好の悟浄や八戒は敵にもならない。

「しょうがありませんね。あまり使いたくないんですが・・・・」

 やれやれと防戦一方になっている悟浄を横目にして、八戒が気功波を撃つ。普段は、体内に緩やかに気功を流しているから破壊力はないが、本来の使い方としては、破壊できる威力を爆発させるが正しい。

「本気だし・・・・うちの人。」

 ヘルベルトが軽く五メーターばかり後ろに吹き飛んだ。うわぁー機嫌が悪かったんだなーと、悟浄も背筋に寒いものが流れるほどの力だ。

「やばいっっ、逃げられる。」

 煙幕が焚かれて、周囲の視界が悪くなる。わけがわからない刹那とティエリアを連れて、キラとラクスは部屋から逃走していた。



 騒ぎのほうは、無視して、キラとラクスは、ティエリアと刹那を連れて、別の部屋に移動した。たぶん、阻止するつもりだろうと、ラクスも判っていたから、ヒルダたちを配置していたのだ。
「フラガさん、ティエリアを。ハイネ、刹那を、お願いします。」
 さすがに十二単を着込んでいるふたりは、自力で歩くのも難儀な状態だ。だから、フラガとハイネに抱えさせた。別荘の二階へと駆け上がると、その部屋に走りこむ。そこも畳が敷き詰められていて、真っ白な着物がふたつ用意されている。
「着替えながら、お話してくださいね、キラ。」
「うん。」
 着付け係が、ここにも、ちゃんといて、十二単を、ゆっくりと剥がしていく。その間に、今回の主旨をキラが刹那とティエリアに説明した。電波天然の大明神様だが、いつも宇宙語を操っているわけではない。今回、ディアッカの何気無い冗談で思いついた。
作品名:こらぼでほすと HGP 作家名:篠義