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らぶれたー・ふろむ・いざや





らいじん幼稚園には、園児たちが一日の終わりに書く「せんせいあのね」というタイトルのついた日記帳が存在する。
今日楽しかったこと、誰と遊んだ、何がすき、何が嫌い、そんなことが絵日記で描かれるノートで、保父さんや保母さんたちはそれを見て園児たちの好みや好き嫌い、誰と仲良しで誰と仲が悪い、などを知るのである。
「ほれ帝人、いつものラブレター」
園児たちが全員帰宅した後、先生たちの集う職員室で、帝人先生は正臣先生から毎日一冊のノートを手渡される。
もちろん、おりはらいざや、と名前欄に書かれているものだ。
またか、とげんなりした顔をしつつも、帝人先生はそれを受け取り、ぺらぺらと本日の分をめくってみた。幼稚園児にしては綺麗な文字で、出だしからして「みかどくんへ」だ。
園児に特別待遇はいけない、と言って正臣先生にコメントを書くよう促したことも一度や二度ではないが、毎日毎日毎日「みかどくんへ」と書いてくる内容に、正臣先生が言葉を添えても「よけいなことしないでよね!」と怒られるだけなので、最近はすっかり妥協して、まっすぐに帝人先生に届けられるのである。
帝人先生もなれたもので、赤ペンを片手に、そのげっそりする内容と今日も向き合う。



みかどくんへ
こんやくゆびわ(こうかくんだってなみえがおしえてくれた!)はさんじゅーにまんもするから、おれはやくおしごとみつけておかねためることにしたよ。ぜろがよっつもついててすごい。
なんでこんなにたかいのってなみえにきいたら、とくべつなひとにおくるとくべつなものだからたかいんだって。みかどくんはおれのとくべつだから、たかいのはしかたないよね。
それでどうやったらすぐにおおきくなれるかなみえにきいたら、ぎゅーにゅーをのみなさいっていわれた。ぎゅーにゅーまずい。おれはてんさいだからおおきいやつにしんちょうもらうことをおもいついて、せーじにしんちょうちょーだいっていったんだけど、しんちょうはあげたりもらったりできないんだって。ぎゅーにゅーまずい。がんばってのんでたらみかちゃんがあっためておさとういれてくれた。にりっとるのんだ。
あとなみえがばんごはんおでんにしてくれた。おれのさらにこんにゃくたくさん。ゆびわがよかったんだよってせつめーしたんだけどね、ちくわわぎりにしてわたされた。なみえにはいっしょうかなわないとおもった。
はやくみかどくんをおひめさまだっこできるくらいおおきくなるね。おれちょうかっこよくなるからまっててね。



微笑ましい。実に微笑ましいが、苦労して話題を逸らしたのにどうやら婚約指輪の正当な値段は即座にばれてしまったらしい。そして今はやく大きくなってお金を稼ぐことが目下の目標になったらしい。
しかし牛乳2リットルは飲みすぎだろうどう考えても。
「正臣、臨也君今日具合悪そうじゃなかった?」
「腹痛っぽかったけど、男らしく我慢するっつってきかなかったから、医務室強制送還の刑」
「やっぱりねえ」
「んで原因は?」
「牛乳の飲みすぎです」
「やっぱりなあ」
うーん、とうなりつつ帝人先生は、コメント欄に赤ペンを走らせる。
『おなかがいたくなったらすぐにせんせいにいってね、しんぱいです。』
そしてもう一言、臨也に最良のお薬を。


『あとね、せんせいはいざやくんがちいさくてもかっこいいってしってるから、むりしなくていいんですよ。』


上手いこと書いた!と満足している帝人先生に、誰か教えてやってくれ。
お前がそうやって甘やかすから、あの園児がますますお前に惚れるのだ、ということを。



作品名:だいすきだいすき! 作家名:夏野